ヤマシンフィルタ、23年4〜9月売上は4.5%減の87億円、通期予想は6.5%減 の173.9億円に修正

 ヤマシンフィルタが11月6日に発表した2024年3月期第2四半期(4〜9月)連結業績によると、売上高は87億9百万円(前年同四期比4.5%減)となり、営業利益は4 億20百万円(同19.3%減)、経常利益は4億17百万円(同8.9%減)、親会社株主に帰属する 四半期純利益は2億26百万円(同16.7%減)となった。

 ヤマシンフィルタ2024年3月期第2四半期データ

■ 第2四半期連結累計期間の概況

 第2四半期連結累計期間における世界経済は、欧州や中東での地政学リスクを背景としたエネルギーコストの上昇や資材価格の高騰等による世界的なインフレの高止まり懸念に伴う主要各国の中央銀行による金融政策により景気減速の懸念が生じており、依然として先行き不透明な状況が継続している。

 このような環境の中、ヤマシンフィルタグループの主力事業である建機用フィルタ事業においては、中国市場において需要の低迷が継続する一方、主要地域である北米及び日本市場、並びに欧州及びアジア市場において、建機の稼働時間と新車需要は概ね堅調に推移したが、前年度におけるコロナ禍からの回復需要に伴う増収の影響により、第2四半期連結累計期間における売上高は減収となった。

 利益面では、外部環境変化への対応策として、適正価格への価格転嫁の実施により収益性の改善は図られたものの、アルミや鋼材等の主要原材料価格やエネルギーコストの高騰、セールスミックスや為替の影響等により減益となった。

 ヤマシングループは、既存のガラス繊維を使用したフィルタ製品から、環境負荷低減に貢献するナノファイバーを使 用したロングライフのフィルタ製品やフィルタの汚染度や交換頻度を感知するセンサ技術を搭載した高付加価値フ ィルタ製品の主要得意先への提案を進めており、各建機メーカの新機種への製品供給が開始されている。また、 カーボンニュートラルへの取り組みの一環として、バイオマス樹脂を用いたナノファイバーの開発、リサイクル樹 脂の不織布を用いたフィルタ製品の開発を推進している。

 一方、減益要因となっている原材料価格やエネルギーコストの高騰に対しては、適正価格への更なる価格転嫁を実行するとともに、原価改善の取り組みとして、プロジェクトPAC23の推進に加え、設計開発段階での機能や材料の見直し、生産プロセスの簡素化、部品の共通化、品質管理の更なる強化等を行うことにより製品ライフサイクル全 体でのコストの削減に取り組み利益の改善に努めている。更には、サプライチェーンの見直しや生産地移管によるグローバル生産供給体制の構築により、原材料調達の安定化と物流コストの低減を実現することで、外部環境変化やリスクへの適応力の強化を図り、資本効率の更なる改善と収益性の拡大に努めていく。

 エアフィルタ事業においては、主力製品であるビル空調用フィルタの交換需要の回復等により、売上高は増加した。利益面では、価格転嫁の実施や、生産効率の改善並びに経費削減等の効果により、大幅な増益となった。また、新たにロングライフ、低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名:NanoWHELP)の、 オフィスビルや商業施設、ホテル、病院、工場等への採用が漸次進展している。同社製品であるNanoWHELPはそ の素材の特性により他社製エアフィルタに比し、年間で約30%近いCO2の削減効果と同時に光熱費も大きく低減できる製品であることから、温室効果ガス削減のための有用な手段の一つとして、ビル用空調システム市場を中心に今 後大きく成長することが見込まれる。また、同社グループは国内では唯一、エアフィルタ性能規格として最も権 威のあるアメリカ暖房冷凍空調機学会(ASHRAE)の定めるエアフィルタの性能等級であるMERV(16の等級に区分さ れ最高性能等級は16)では当社のNanoWHELPはMERV14・15・16の3つの等級を取得しているフィルタメーカであり、 この高い競争力と信頼性を生かし、今後、欧米市場をはじめとした、海外市場の開拓にも積極的に取り組んでいく。

 今後もヤマシンフィルタグループは、総合フィルタメーカとして「環境」「空気」「健康」をテーマに持続可能な社会・経済 活動に貢献する企業として社会的責任を果たしていく。

■今後の見通し

 2024年3月期連結業績予想については、以下のとおり修正した。

 売上高17,390百万円(前期比6.5%減)、営業利益820百万円(同33.6%減)、経常利益860百万円(同6.0%減)、親会社株主に帰属す る当期純利益520百万円(同19.4%減)。

 2024年3月期の想定為替レートについては、米ドル145円、ユーロ155円に変更した。 今後、市場環境の変化が業績等に影響を与える場合には速やかに開示する。

 ヤマシンフィルタの2024年3月期第2四半期決算短信

 第2四半期決算説明資料