・バイオメタンの自社運営事業 3 件目
日立造船は9月28日、同社100%子会社で、ごみ焼却発電プラントや再生可能ガスプラントの設計、 建設、保守、運営などを手がける Hitachi Zosen Inova AG(スイス、以下、HZI)が、イタリア北西部の都市ピアンフェーイ(ピエモンテ州クーネオ県)において、20 年間のバイ オメタン(1)供給事業を行うことを決定したと発表した。なお、プラントの建設および運営業務は、HZI の 100%子会社である Hitachi Zosen Inova Schmack GmbH(ドイツ)が請け負い、2025 年初め の稼働開始を目指す。
本件では、HZI はバイオガス事業のために設立された SPC(特別目的会社)である BBV Biomethane Societa Agricola, Srl の全株式とプラント建設用地を取得し、バイオメタン供給事業を手がける。プラントの設計(Design)から資金調達(Finance)、建設(Build)、所有 (Own)、運営(Operate)までを HZI グループが一貫して行う DFBOO 方式での事業となり、 HZI が自社保有・運営するバイオガス施設は、米国、スウェーデンに次いで 3 件目となる。
プラントでは、HZI Schmack GmbH が所有する湿式メタン発酵技術が用いられ、家畜の糞 尿や農業副産物(野菜残渣、果物残渣など)、カカオ豆残渣、もみ殻などの有機性廃棄物からバ イオガスが生産され、HZI のグループ会社である Hitachi Zosen Inova BioMethan GmbH(ド イツ)のガス精製装置によって純度を高めた「バイオメタン」として既存インフラであるパイプ ラインを通じて供給が行われる。
同プラントの家畜糞尿や農業副産物などの処理能力は年間 42,500 トンで、純度を高めるため のガス精製装置(生産能力:最大 400N m³/h)のバイオメタン生産量は、年間約 35GWh のエネ ルギー供給に相当する。また、化石由来の天然ガスと比較した場合、約 7,800 トンの CO2 削減効果がある。
日立造船グループは 2023 年度よりスタートした中期経営計画「Forward 25」において、「投資戦 略(事業投資・開発投資)の実行」を重点施策として掲げ、750 億円規模の事業投資を計画しており、今回の DFBOO での事業は日立造船グループの戦略に沿った取り組みとなる。
また、近年 HZI が強化してきたごみ焼却発電プラントのメンテナンスや運営事業、バイオガ ス・バイオメタンなどの新事業への取り組みの一環でもある。
欧州委員会は、エネルギーセキュリティの観点などからバイオメタンや水素の利用拡大を掲げ た「REPowerEU(2)」を打ち出している。日立造船グループは、日本および欧州で培ってきたバイオ ガス・バイオメタン技術を活用し、ますます高まる需要に積極的に貢献していく。
<概要>
発注・所有者:BBV Biomethane Societa Agricola, Srl(HZI が全株式取得)
建設地:イタリア ピエモンテ州クーネオ県 ピアンフェーイ(Pianfei) バイオメタン生産量:年間約 35GWh(エネルギー換算)
運営期間:2025 年初めの完工後 20 年間
(1) バイオメタン:有機性廃棄物を発酵させることによって発生するバイオガスを精製することに よって、天然ガスと同等となるメタン濃度 90%以上に純度を高めたもの。
(2 )REPowerEU:2022年5月に欧州委員会が詳細を公表した再生可能エネルギー利用計画。天 然ガスの代替品として、バイオメタンの大幅な増産案が盛り込まれている。
ニュースリリース
*リリース内容から「ですます調」で表記しています。