・水素ステーション向け90MPa級超高圧液体水素昇圧ポンプの長期耐久性を確認
三菱重工業は9月11日、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)の燃料となる水素を補給する水素ステーション向け90MPa級超高圧液体水素昇圧ポンプ(注1)の長期耐久試験において累積250時間の運転を達成したと発表した。同試験は、水素燃料供給の世界的大手である米国ファーストエレメント・フュエル社(FirstElement Fuel, Inc.、本社:カリフォルニア州、以下、FEF社)と共同実施しているもので、カリフォルニア州リバモアにあるFEF社の水素供給施設(注2)で来年まで継続する予定。
この試験では、液体水素昇圧ポンプの起動・停止運転を約300回にわたって実施し、燃料電池バス1,100台分(注3)に相当する約30トンの液体水素を昇圧した。分解点検の結果、消耗品を含む各種部品の健全性や耐久性を確認できた。また、試験で使用された水素は実際にFCVの燃料に利用され、CO2排出削減にも寄与している。
液体水素昇圧ポンプは、吐出圧力90MPaで1時間当たり160kgの大流量運転を継続的かつ安定的に達成している。また、ボイルオフガス(注4)による水素ロスが極めて少なく、水素ステーション運営の経済性を高めることができます。今後、同ポンプを米国をはじめとする世界各国の液体水素ステーション市場へ投入予定。
本格的な水素社会の実現には液体水素が不可欠であり、FCVへの水素燃料補給を担う液体水素昇圧ポンプの需要が今後拡大していくものと考えている。
三菱重工は、水素社会の実現に寄与する新たなソリューションとなる90MPa級超高圧液体水素昇圧ポンプを通じて、グローバル社会全体のカーボンニュートラル実現に貢献していく。
(注1)液化水素昇圧ポンプは、水素を液体状態で昇圧することによって、気体の水素を昇圧する方式に比べて、エネルギー消費量を約4分の1に抑えることができ、水素社会における環境負荷低減に貢献する。三菱重工は、原子力発電所向けをはじめとする各種産業用ポンプ納入実績で培った技術と経験の下、90MPa級超高圧液体水素昇圧ポンプを開発した。今後、バスやトラックなどの大型FCVを中心に、需要の拡大が見込まれる水素ステーションへの適用を目指す。
製品について、詳しくは以下URLを参照。
https://www.mhi.com/jp/products/energy/ultra-high-pressure_lh_booster_pump.html
(注2)FEF社は液体水素を使った試験を実際の水素ステーション規模で実施することを重要視し、カリフォルニア州リバモアに実際の水素ステーションと同じ運転条件下で何時間も連続して実施可能な水素供給設備を整備している。
(注3) FCバス1台当たりの液体水素充填量を28kgと想定した場合
(注 4)外部からの熱により液体水素が気化・蒸発して発生する水素ガス
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