DMG森精機、倉敷機械の株式取得で連結グループ化、取得価額は45億円

 DMG森精機は9月6日、同日開催の取締役会において、倉敷紡績が保有する倉敷機械(新潟県長岡市、安川洋社長、資本金954 百万円、総資産4,956百万円)の株式を 100%譲り受け、連結グループ化することについて決議したと発表した。今後、必要な手続きを経て 2023 年 10月31日(予定)に株式の譲渡を実行する予定。取得価額は4,500百万円。

■株式の取得の理由
 DMG森精機は、1948 年に繊維機械の製造・販売を目的に創業し、その後、工作機械の製造・販売企業へ転身し、 工作機械の精度向上、高速化、高剛性や高付加価値のトータルソリューションを提供することを通して、顧客の生産性向上を支援してきた。

 2009 年から資本提携を開始した DMG MORI AKTIENGESELLSCHAFT を 2015 年には連結グループ対象会社とし、この企業結合により、海外での直販・直サービス体制を一層強化す ると同時に、同時5軸加工機の普及を促進してきた。

 昨今の工作機械業界は、宇宙・航空、半導体製造装置、新エネルギー分野、医療、EV(電気自動車)、金型産業等への需要が高まり、更なる超高精度加工技術や、より高効率な加工プロセスが要求されている。このような事業環境や顧客ニーズの変化を踏まえ、 DMG森精機は、今年度を初年度とする「中期経営計画 2025」を策定し、MX(マシニング・トランスフォーメーショ ン)戦略による持続的成長を目指している。MX 戦略は、まずは工程集約し、それを自動化することで加工プロセス及び経営資源の最適化を図る。この仕組みは CO2 排出量の削減など環境対応にも適している。そして環境対応を含めた加工プロセスをデジタルで管理・分析・フィードバックすることで継続的な生産性改善につなげる。

 このようにDMG森精機は、工作機械業界において、顧客の価値向上のために差別化された新たなプラットフォームを構築できたと考えており、このプラットフォームを利用して同業他社とのグループ化を含め、持続的成長を通じて企業価値を拡大していきたいと考えている。

 倉敷機械は、CNC 横中ぐりフライス盤の製造・販売を中心事業としている。DMG森精機は、工作機械業界におい ては、最大級の製品の品揃えを展開しているが、CNC 横中ぐりフライス盤の製造は行っていない。よって、DMG森精機の製品群・顧客領域をより充実させる上で、倉敷機械の開発技術、製造技術及び新たな顧客の確保は重要であると考えている。

 倉敷機械の CNC 横中ぐりフライス盤は、宇宙・航空、新エネルギー、重機械産業での需要が増加している。これらの産業は中長期的にも、成長が期待できる分野。また、倉敷機械とは 2017 年に米国において販売契約を締結し、その後、2022 年には独占販売契約が 32 州にまで拡大 している。この販売・サービスを通じて、DMG森精機は倉敷機械の製品を熟知しており、DMG森精機の内製部品などの利用により、さらなる精度・品質向上に貢献できるものと考えている。

 また、顧客からも倉敷機械の製品に関する自動化、デジタル化の要望が高まっていることから、DMG森精機の MX 戦略が対象会社の製品需要増につ ながるものと確信している。

 一方、倉敷機械は、欧州における売上が極めて少額にとどまっている。DMG森精機は、欧州においても業界における最大級の直販・直サービス拠点を有しており、欧州における CNC 横中ぐりフライス盤を必要とする主要産業である、航空、新エネルギー、電源開発、船舶用事業などとも緊密な関係にあることから、欧州における倉敷機械製品の拡販にも期待している。

 倉敷機械は、本社及び製造拠点が新潟県長岡市にあり、DMG森精機のグループ会社である㈱太陽工機と地理的に近い位置関係にある。DMG MORI のデジタルプラットフォームを活用して、さらなる生産・販売・サービスの効率化を実現していきたいと考えている。

 DMG森精機は、主要製造拠点において、景観整備、環境保全、地域の活性化に努めているが、今回の取引を通じて、長岡市においても中長期的に同様の施策を進めていきたいと考えている。

 DMG森精機は、倉敷機械の株式取得を通じ、社員 295 人をDMG森精機グループの一員として迎え入れ、上記各機能におけるDMG森精機と対象会社のシナジー効果を追求し、DMG森精機グループにおける事業の持続的な成長と企業価値向上に努めていく。

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