ダイヘン、ドイツ溶接機メーカ大手LORCH (ローヒ社)を買収

・欧州溶接機・アーク溶接ロボット市場でのトップシェアへ

 ㈱ダイヘンは8月30日、ドイツ国内シェア2位の溶接機メーカLorch Schweißtechnik GmbH(以下、ローヒ社)を完全子会社化すると発表した。欧州での溶接機・アーク溶接ロボット事業を大幅に強化する。これにより欧州市場でのトップシェアを獲得し、2026年度までに欧州での売上高を現状比約3倍の200億円超にまで拡大させる。取得額は、約22,000千ユーロ(約3,417百万円)。

 ダイヘンはEVの車体軽量化に役立つ新接合システムや鉄骨・建機・風力発電等で用いる厚板溶接の生産性を飛躍的に高める新接合機器などダイヘン独自の接合機器を多数開発しており、国内大手メーカを中心に採用実績が着実に増加しているが、欧州での実績はまだ少ない。

 今回のローヒ社買収により、同社が持つ西欧の販売ネットワークと大手ユーザへの直販体制を活かし、西欧でのダイヘン独自の接合機器の販売拡大を加速させる。また、FAロボット事業においても、ダイヘンがこれまでに欧州事業強化策として買収したドイツのシステムインテグレータ(2019年度ラゾテック社、2022年度フェミテック社)を活用することで、ローヒ社顧客が持つ多様な自動化ニーズにも応えることができる。

 加えて、ダイヘンが2014年度に買収した東欧No.1の溶接機器メーカであるバストロイ社が持つ販売ネットワークを活用した東欧でのローヒ社製品の販売拡大も期待できる。

 これらの成果により溶接機・アーク溶接ロボット分野での欧州市場No.1メーカとなることを目指し、欧州での売上高を200億円以上(2022年度60億円の3倍強、2013年度欧州事業強化前17億円の12倍弱)に拡大させる。また、欧州市場での認知度向上を梃子にグローバルワイドにEV・風力発電等の新たな分野での販売拡大を加速させる。

<ローヒ社の概要>
会社名:Lorch Schweißtechnik GmbH(ローヒ・シュヴァイステクニック社)
設立:1957年
所在地:ドイツ連邦共和国 バーデン=ヴュルテンベルク州 アウエンバルト市
代表者:Wolfgang Glüb(ヴォルフガング・グルーブ社長)
従業員数:280人(連結)
売上高:約85億円(2022 年度)※2024年3月期第4四半期より連結対象予定。
市場シェア ドイツ2位、欧州5位(いずれもアーク溶接機市場)
事業の特長:量販機種を中心に事業展開
(ダイヘンはハイエンド機を得意としており相互補完の関係が成り立つ)
ローヒ社傘下の販売子会社 ドイツ2社、フランス、イギリス、イタリア、チェコ、ベルギー、
オーストラリア、インド(全て今回の買収対象)

■ローヒ社とのシナジー
1.欧州市場でのローヒ社販売ルート・ユーザ直販体制を活用したダイヘン製品の販売拡大
①溶接・接合機器
・ローヒ社が持つ欧州の販売サービス網400社以上で構成を活用することで、ダイヘンハイエンド機や独自技術を搭載したEV車体軽量化等に役立つ新接合システムや厚板溶接の生産性を飛躍的に高める新接合機器等の販売拡大を図る 。

②アーク溶接ロボットシステム
・ローヒ社が販売するアーク溶接ロボットをダイヘン製に置き換えることに加え、ローヒ社が持つ大手メーカへの直販体制を活用したラゾテック社が得意とする自動車業界向けレーザ溶接システムやフェミテック社が得意とする標準小型セル(家電業界等がターゲット)の販売拡大を図る。

2.その他市場での当社 販売ルートを活用したローヒ社製品の販売拡大
・ローヒ社は欧州偏重の事業展開となっているが、ダイヘン販売ルートを活用することで、欧州(西欧)製品のブランド力が武器となる東欧、中国、米国、インド等の市場での販売拡大を図る。
3.技術の融合による新製品・サービスの拡充
・ダイヘンが持つ最先端の溶接プロセス技術・インバータ技術とローヒ社の欧州市場にフィットしたデザイン、およびIndustrial4.0に対応したネットワーク・インターフェイス技術を融合させたグローバルスタンダード溶接機を共同開発し、欧州市場での展開のみならずグローバル市場で販売拡大を図る。

■ローヒ 社買収のスケジュール
2023年8月29日:持分譲渡契約締結(日本時間深夜)
2023年9月~11月:公正取引委員会届け出(欧州)
2024年1月:株式譲受完了

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