太平洋セメント(東京都文京区)は8月8日、 連結子会社であるタイヘイヨウセメントフィリピンズ(フィリピン共和国セブ州、 以下、TCPI 社)によるフィリピン国内で最大のセメント消費地であるルソン島でのセメントターミ ナル新設を決定したと発表した。
フィリピンでは好調な経済成長に伴う建設投資の増加等により、セメント需要は堅調に推移している。2015 年から 2019 年までの 5 年間で年間セメント需要は約 30%増加し、3,200 万トンに達したと推定される。2020 年のセメント需要は、新型コロナウイルス感染拡大等の影響により一時的な縮 小が見られるが、2023 年の GDP 成長率は 5.6%※1 と予想され、政府の大規模インフラ投資計画「ビ ルド・ベター・モア」等により、セメント需要は再び上昇に転じると見込まれる。
TCPI 社では、フィリピン市場におけるプレゼンスの更なる向上を図るべく、2030 年以降における年間販売量 500 万トンおよび販売シェア 10%の達成を目標に掲げている。現在、世界的にも最先端の技術を導入するセメント生産ラインの更新工事を行っており、2024 年 5 月からの商業運転開始後のセ メント生産能力は年間 300 万トンへと増強される。この取り組みに続けて、今回、同社の目標達成に向けた歩みを加速するべく、ルソン島南部バタンガス州カラカ地区にセメントターミナルを新設する。
当該ターミナルの新設により、フィリピン国内で最大のセメント消費地であるルソン島向けに年間 70 万トンのセメントを供給することが可能となる。同地区には、近年需要の高まりを見せている混合セメントを積極的に輸送し販売する計画としており、当該ターミナルの活用が進むことで同社グ ループとして CO2 排出原単位の削減も期待できる。あわせて、ターミナル新設を契機に、フィリピン事業の将来を見据えた海上物流体制の強化も検討しており、総投資額としては 100 億円程度を見込んでいる。
同社グループは「カーボンニュートラル戦略 2050」を掲げ、2050 年にサプライチェーン全体でのカ ーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めている。引き続きグループの総合力を発揮し、経済の発展のみならず環境負荷の低減に積極的に注力することで、環太平洋において社会に安全と安心 を提供する企業集団を目指す。
<TCPI 社の概要>
名称:タイヘイヨウセメントフィリピンズ株式会社
所在地:フィリピン共和国セブ州 サンフェルナンド町
代表者の役職・氏名:取締役社長 伊沢 良仁
事業内容:セメント製造および販売
資本金:13,569 百万フィリピンペソ
出資構成:同社 100%
※1:世界銀行「WORLD BANK EAST ASIA AND PACIFIC ECONOMIC UPDATE APRIL 2023」
※2:TCPI 社推定値
<フィリピンのセメント需要(千トン) >
2018年:31,000、2019年:32,000、2020年:29,000、2021年:30,000、2022年:31,000