コマツ、水素混焼発電機を小山工場に導入

・コマツと日立が技術供与し、デンヨーが開発・製品化

・カーボンニュートラル実現を加速

 コマツは8月8日、コマツと㈱日立製作所が技術供与し、デンヨーが開発に取り組んでいた250kW水素混焼発電機の製品化に成功したと発表した。この発電機は、燃料に水素を最大50%混合した発電が可能となっており、軽油のみを燃料とした場合に比べ、発電時の二酸化炭素(CO2)排出量を最大50%削減できる。コマツはカーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして同発電機の初号機を小山工場に導入し、2023年9月中の本格稼働を目指す。

 水素は燃焼速度が速く、燃焼温度が高い特性があるため、軽油と同様のエンジン制御では異常燃焼の発生や窒素酸化物(NOx)の生成が多いといった課題があった。こうした課題を解決するため、3社は次の役割分担で水素混焼発電機の製品化に向け取り組んだ。

コマツ:発電機用の電子制御エンジンSAA6D170E-5Rの提供、およびNOxの発生抑制と異常燃焼防止に関する燃料噴射制御技術の供与
日立:エンジンへの水素供給量の制御、およびセンサーによる燃焼状態の監視と異常燃焼発生時に安全に停止する新機能の実装

デンヨー:水素混焼発電機としてパッケージ化およびNOxの発生抑制のため軽油の噴射制御の最適化(コマツと共同で実施)

 コマツは中期経営計画において、2030年までに、製品使用により排出されるCO2の50%削減(対2010年比)、生産によるCO2排出の50%削減(対2010年比)という経営目標とともに、2050年カーボンニュートラルをチャレンジ目標としている。これまでに、同小山工場における水素燃料電池を搭載したコンセプトマシンの実証実験や、欧州工場における工場出荷製品への充填燃料を水素化植物油に順次切り替えるなど、自社だけでなく顧客が使用する製品も含めたカーボンニュートラルに、あらゆる方面から取り組んでおり、今回の水素混焼発電機の導入もその取り組みの一つ。

■今後の展開
 コマツは、パートナー企業とのコラボレーションを今後も進め、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みをさらに推進していく。中期経営計画「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」 に掲げている、ダントツバリュー(収益向上とESG課題解決の好循環を生み出す顧客価値の創造)を通じて、未来の現場に向けた次のステージに踏み出し、サステナブルな未来を次の世代へつないでいくため、新たな価値創造を目指していく。

 日立とデンヨーは、福島県および宮城県富谷市での実証などを通して、水素混焼発電機の開発を進めてきた。今回の初号機納入を契機に、今後、水素サプライチェーンを構築するためのキープロダクトとして水素混焼発電機を拡販し、カーボンニュートラルと水素社会の実現に貢献していく。

 詳細は、ニュースリリース