ヤマシンフィルタが8月4日に発表した2024年3月期第1四半期(4〜6月)連結業績によると、売上高は43億2百万円(前年同期比3.2%増)となり、営業利益は1 億12百万円(同20.1%増)、経常利益は95百万円(同66.1%増)、親会社株主に帰属する四 半期純利益は19百万円(同62.2%増)となった。
第1四半期における世界経済は、欧州での地政学リスクの長期化を背景としたエネルギーコストや資材価格の高騰が継続する中、欧米諸国の金融政策による企業経済への悪影響や急激な為替変動が生じており、依然として先行き不透明な状況が継続している。このような環境の中、ヤマシンフィルタグループの主力事業である建機用フィルタ事業においては、主要地域である欧州及びアジア市場において需要の減少がみられるものの、北米及び日本市場においては、建機の稼働時間と新車需要は概 ね堅調に推移した。一方、中国市場においては経済活動の停滞により需要の低迷が継続している。この結果、第1四半期における売上高は増収となった。
利益面では、当該外部環境変化への対応策として、適正価格への価格転嫁の実施により収益性は順次回復傾向に あるが、アルミや鋼材等の主要原材料価格やエネルギーコストの高騰、セールスミックスの影響等により減益となった。
ヤマシンフィルタグループは、環境負荷低減に貢献するロングライフのフィルタ製品やフィルタの汚染度や交換頻度を感知す るセンサ技術を搭載した高付加価値フィルタ製品の主要得意先への提案を進めており、各建機メーカの新機種への製品供給が順次開始されている。
一方、減益要因となっている原材料価格やエネルギーコストの高騰に対しては、適正価格への更なる価格転嫁を 実行するとともに、原価改善の取り組みとして、プロジェクトPAC23の推進に加え、設計開発段階での機能や材料の見直し、生産プロセスの簡素化、部品の共通化、品質管理の更なる強化等を行うことにより製品ライフサイクル全 体でのコストの削減に取り組み利益の改善に努めていく。更には、サプライチェーンの見直しや生産地移管 によるグローバル生産供給体制の構築により、原材料調達の安定化と物流コストの低減を実現することで、外部環境変化やリスクへの適応力の強化を図り、資本効率の更なる改善と収益性の拡大に努めていく。
エアフィルタ事業においては、主力製品であるビル空調用フィルタの交換需要の回復等により、売上高は増加した。利益面では、原材料価格の高騰に対する価格転嫁の実施、及び生産効率の改善並びに経費削減等の効果により、大幅な増益となった。また、新たにロングライフ、低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィ ルタ(製名:NanoWHELP)の、オフィスビルや商業施設、ホテル、病院、工場等への採用が進展している。また、昨今のカーボンニュートラルという大きな流れの中で企業に求められる温室効果ガスの削減のための有用な手段の一つとして、同社製品であるNanoWHELPはその素材の特性により他社製エアフィルタに比し、年間で約30%近い CO2の削減効果と同時に光熱費も大きく低減できる製品であることから、ビル用空調システム市場を中心に今後大きく成長することが見込まれる。更に、同社グループは国内では唯一、エアフィルタ性能規格として最も権威のあ るアメリカ暖房冷凍空調機学会(ASHRAE)の定めるエアフィルタの性能等級であるMERV(16の等級に区分され最高 性能等級は16)ではと同社のNanoWHELPはMERV14・15・16の3つの等級を取得しているフィルタメーカであり、この高い競争力と信頼性を生かし、今後、欧米市場をはじめとした、海外市場の開拓にも積極的に取り組んでいく。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
サプライチェーン混乱に伴う原材料価格高騰やエネルギーコストの高騰については、当面継続する可能性も考えられるが、これら外部環境変化への対応策として、適正価格への価格転嫁を随時実施する方針としている。
2024年3月期連結業績予想については、以上の状況を踏まえ、以下のとおり据え置いた。
売上高17,620百万円(前期比5.3%減)、営業利益600百万円(同51.4%減)、経常利益650百万円(同29.0%減)、親会社株主に帰属す る当期純利益450百万円(同30.3%減)。
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