北越工業が7月28日に発表した2024年3月期の第1四半期(4~6月)連結業績によると、売上高は11,804百万円(前年同期比12.4%増)、営業利益1,585百万円(同96.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,504百万円(同58.9%増)となった。
第1四半期における国内経済は、新型コロ ナウイルス感染症の影響による行動制限が緩和されたことや、感染症法上の位置づけが5類感染症 に変更されたことで経済活動が正常化に向かう一方、ウクライナ情勢の長期化、資源価格や原材料 価格の高騰、円安による物価の上昇などにより、依然として先行き不透明な状況が続いた。世界経済においては、欧米ではインフレの長期化や政策金利の上昇等により緩やかに減速して推移し、中国においては政府債務の増加や不動産市場の低迷を背景に成長が鈍化した。
このような情勢のなかで北越工業グループは、中期経営計画「中期ビジョン2024」に掲げた「常に新 しい価値を追求し、社会と産業の発展に貢献する」企業を目指して、成長戦略に取り組んできた。また、インフラや都市開発が加速する地域での急激な受注増加に対して生産能力の向上を図ると共に、調達環境悪化の影響を最小限に抑えるよう努めた。加えて、販売価格の見直しや 諸経費削減を推進し、利益改善を図ってきた。
<建設機械事業>
売上高9,582百万円(前年同期比10.1%増)/ セグメント利益1,562百万円(同78.1%増)
建設機械事業セグメントは、主にエンジンコンプレッサ、エンジン発電機、高所作業車などの事業で構成している。販売面では、国内はインバウンド需要の回復によってホテルなどの改修・新築工事案件が堅調に推移したほか、主要都市での再開発事業は依然として継続するなど、旺盛な建築工事需要を背景に、高所作業車の出荷が伸長した。また、エンジンコンプレッサ、エンジン発電機においても民間投資の回復により出荷は堅調に推移した。
海外においては、ロシア向けの出荷停止は継続したが、北米や東南アジア向け受注は底堅く推移し、オセアニアの資源開発向け需要の増加等 によって、総じて売上としては高水準を維持した。利益面では、鋼材を中心とした原材料価格の高騰は大きな下押し要因だったが、海外向けに比べ利益率の高い国内向けの売上高の増加や工場の操業度が高まったことに加え、北米向け販売における円安効果も寄与し、前年同期比で増益となった。
<産業機械事業>
売上高2,221百万円(前年同期比23.1%増)/ セグメント利益382百万円(同59.7%増)
産業機械事業セグメントは、主にモータコンプレッサ、非常用発電機、部品、サービスなどの事業で構成している。 販売面では、主力のモータコンプレッサは、中期経営計画「中期ビジョン2024」に掲げた目標達成に向けて、国内のシェア獲得を推し進めた結果、出荷が堅調に推移した。また、部品、サー ビスの売上も増加したことにより前年同期比で増収となった。利益面では、原材料価格の高騰 は大きな下押し要因ではあったが、製品価格への転嫁や、利益率の高い部品、サービスが好調に推移したことで利益改善が図られ、前年同期比で増益となった。
■今後の見通し
2024年3月期の連結業績の見通しについては、下記のとおり修正した。
売上高49,600百万円(前期比1.2増)、営業利益6,550百万円(同25.2%増)、経常利益6,700百万円(同24.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,535百万円(同20.9%増)。
修正の理由 :同社グループの業績は、国内においては、インバウンド需要の回復によってホテル等の改修・新築工事が堅調に推移したほか、主要都市での再開発事業は依然として継続するなど、旺盛な建築工事需要を背景 に、高所作業車の出荷が伸長している。また、エンジンコンプレッサ、エンジン発電機においても民間投資の回復により出荷は堅調に推移している。モータコンプレッサは、中期経営計画「中期ビジョ ン2024」に掲げた目標達成に向けて、国内のシェア獲得を推し進めており、出荷が堅調に推移中。
海外においては、北米、東南アジア、オセアニア向け等の受注は依然堅調に推移していることから、現 在の旺盛な需要は今後も続くものと予想している。
利益面では、原材料価格の高騰は大きな下押し要因ではあるが、旺盛な需要を背景とした販売増加、販売価格の見直し、北米向け販売における円安効果の寄与などが、利益の押し上げ要因になると予想している。
以上のことから、連結業績の見通しについては、前回発表予想を上回る見込みとなった。
なお、業績予想の為替レートは、1米ドル=133円、1ユーロ=142円を前提としている。
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