コマツ、23年4~6月期売上は17.8%増の8,996億円、通期予想3兆3,820億円(4.6%減)は変更せず

 コマツが7月28日に発表した2024年3月期の第1四半期(4~6月)連結業績によると、2024年3月期の第1四半期(2023年4〜6月)において、連結売上高は8,996億円(前年同期比17.8%増加)となった。建設機械・車両 部門では、中南米、欧州などで一般建機の需要が減少したものの、北米における需要は底堅く、また、鉱山機械の需要も好調に推移した。クロスソーシングの活用及びマルチソーシングの強化など、外部環境の変動に強いサプライチェーンの構築に取り組み、新車需要を着実に取り込んだ。鉱山機械を中心とした機械の高稼働による部品・サービス売上げの増加や、各地域での販売価格の改善や円安の影響もあり、売上高は前年同期を上回った。産業機械他部門では、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械の売上げが増加したことから、売上高は前年同期を上回った。

 利益については、資材価格や固定費上昇の影響はあるものの、各地域での販売価格の改善や円安の影響により、営業利益は1,470億円(前年同期比57.1%増加)となった。売上高営業利益率は前年同期を4.1ポイント上回る16.3%、税引前四半期純利益は1,482億円(前年同期比31.7%増加)、当社株主に帰属する四半期純利益は1,054億円(前年同期比31.0%増加)となった。

 コマツは、2025年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」において、①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築を成長戦略の3本柱として掲げ、収益向上とESG課 題解決の好循環による持続的成長を目指すサステナビリティ経営を引き続き重視し、需要変動に左 右されにくい事業構造の構築に向け、活動を進めている。

 コマツ2024年3月期第1四半期データ

■部門別の概況
[建設機械・車両]
 建設機械・車両部門の売上高は8,469億円(前年同期比18.4%増加)、セグメント利益は1,384億円(前年同期比66.1%増加)となった。

 中期経営計画の成長戦略「イノベーションによる成長の加速」においては、鉱山オペレーション全体の最適化ソリューションであるオープンテクノロジープラットフォームの導入を開始し、また、自動化・自律化の実現加速として、2023年5月より、ブラジルの鉄鉱山で大型ICTブルドーザーの 遠隔操作仕様車の商用稼働を開始した。鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)は、 23年6月末時点の総稼働台数累計661台となり、AHS管制下で無人ダンプトラックと協調稼働が可能 な、自動走行ライトビークルのコンセプト車両の試験を進めた。建設・鉱山機械のカーボンニ ュートラル化については、23年5月に北米の試験場において、登坂走行中のバッテリーダンプトラ ックへのトロリーシステムからのダイナミックチャージングのデモを行った。また、水素燃料電池を搭載した中型油圧ショベルのコンセプトマシンを開発し、実証実験を進めた。
 「稼ぐ力の最大化」では、中央アジア地域における建設・鉱山機械の販売及びサービス活動の強化を目的とし、周辺地域の代理店を管轄する新体制を構築するため、23年4月に、カザフスタン共和国に100%子会社であるKomatsu Central Asia LLPを設立した。
 「レジリエントな企業体質の構築」では、海外向けダンプトラックなどの需要増加に対応していくため、茨城工場に隣接する新たな敷地内に、自走車両の出荷整備や出荷部品の梱包作業を行うための新工場を建設した。組立工場から常陸那珂港への出荷動線上の敷地を新たに活用すること により、組立ラインオフ後から出荷までのリードタイムを大幅に削減する。

地域別の概況

<日本> 日本では、新車需要が前年同期並みに推移しており、販売価格の改善などの影響もあり、売上高 は前年同期を上回った。

<米州> 北米では、一般建機の需要は、金利上昇の影響で住宅建設向けの減少傾向があるものの、レンタ ル、インフラ、エネルギー関連向けが好調に推移した。加えて、鉱山機械の需要が堅調に推移 したことや販売価格の改善もあり、売上高は前年同期を上回った。

中南米では、経済の先行き不透明感や輸入規制により一般建機の需要が減少したものの、鉱山機械の需要は堅調に推移した。鉱山機械の部品・サービスの売上げ増加や販売価格の改善の影響もあり、売上高は前年同期を上回った。

<欧州・CIS> 欧州では、金利上昇の影響で主要市場であるドイツ、英国、フランスを中心に一般建機の需要が 減少したものの、円安の影響や販売価格の改善により、売上高は前年同期を上回った。

CISでは、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーン及び金融・経済の制約の影響から、売上高は前年同期を大幅に下回った。

<中国> 中国では、不動産市況の低迷などに起因した経済活動の停滞により、需要が低迷したことから、 売上高は前年同期を下回った。

<アジア・オセアニア> アジアでは、インドネシア、タイ、ベトナムなどで、公共事業予算執行及びインフラプロジェク トの遅れや、経済の先行き不透明感により、一般建機の需要が減少したものの、インドネシアにおける石炭、ニッケル鉱山向け機械の需要が好調だったことから、売上高は前年同期を上回った。 オセアニアでは、鉱山機械及び一般建機の需要が好調に推移したことに加え、部品・サービス売 上げが増加したこともあり、売上高は前年同期を大幅に上回った。

<中近東・アフリカ> 中近東では、サウジアラビアやUAEなどの産油国でのプロジェクトや、トルコの復興需要などによ り、一般建機の需要が堅調に推移したことに加え、円安の影響もあり、売上高は前年同期を上回った。

アフリカでは、鉱山機械の需要が堅調に推移したことに加え、部品・サービス売上げが増加した こともあり、売上高は前年同期を上回った

[リテールファイナンス]
 リテールファイナンス部門では、円安の影響に加え、金利上昇の影響により、売上高は229億円 (前年同期比14.8%増加)となった。セグメント利益は、前年同期に北米で計上した貸倒引当 金の戻入益がなくなったことなどもあり、63億円(前年同期比17.7%減少)となった。

[産業機械他]
 産業機械他部門では、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械の売上げが増加し、売上高は405億円(前年同期比17.1%増加)となった。セグメント利益は、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業において、世界的な半導体需要の減少による影響を受け、19億円(前年同期比 45.4%減少)となった。 コマツ産機(株)では、水中切断ファイバーレーザー加工機の系列機種の拡充を進め、本年7月 開催の「MF-TOKYO 2023」(第7回プレス・板金・フォーミング展)への出展に向けて取り組んだ。

■次期の見通し
 2023年4月28日に公表した2024年3月期の連結業績予想(下記)に変更はない。売上高3兆3,820億円(前期比4.6%減)、営業利益4,910億円(同0.1%増)、税引前当期純利益4,420億円(同7.2%減)、株主に帰属する当期純利益2,990億円(同8.4%減)。

 業績見通しにおける為替レートは、1米ドル=125.0円、1ユーロ=133.0円、1豪ドル=83.0 円を前提としている。

 ニュースリリース

 コマツの2024年3月期第1四半期決算短信

 第1四半期決算説明資料