東レ、米国と韓国でレギュラートウ炭素繊維の生産設備を増強

 東レ(東京都中央区)は7月13日、米国の子会社Toray Composite Materials America, Inc.(ワシントン州タコマ、以下CMA)、および、韓国の子会社Toray Advanced Materials Korea Inc.(ソウル特別市、以下TAK)において、レギュラートウ(※)炭素繊維の生産設備増強を決定したと発表した。

 今回の設備増強では、CMAのスパルタンバーグ工場(所在地:サウスカロライナ州)とTAKの亀尾工場(慶尚北道グミ市)の生産能力を増強し、東レグループ全体で現行の年産2万9千トンから3万5千トンに増強する計画。2025年からの生産開始を予定している。

 レギュラートウ炭素繊維の需要は、カーボンニュートラルのメガトレンドを背景に、2030年にかけて年率17%で成長すると予想される。特に、圧縮天然ガス(CNG)タンクや水素タンクなどの圧力容器用途は、宅配業務用CNG車両およびガス輸送タンクの需要が堅調に増加していることに加え、燃料電池を使用する乗用車、物流トラック、鉄道、船舶などへの採用が拡大しており、同用途向けのレギュラートウ炭素繊維の需要は今後急速に拡大する見込み。今回の生産設備増強は、圧力容器用途の需要が拡大している米国および韓国において安定的な供給体制の確立を図り、拡大する産業用途のレギュラートウ炭素繊維の需要拡大に対応するためのもの。さらに航空用途等のレギュラトートウ炭素繊維の安定供給も可能。

 東レは中期経営課題”プロジェクトAP-G 2025″の基本戦略の一つとして「持続的な成長の実現」を推進しており、炭素繊維複合材料事業の産業用途はその戦略に則った気候変動対策の加速に貢献する製品と位置付けている。企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」のもと、総合力を駆使して課題解決に最適な素材をグローバルに提案・提供し続け、2050年のカーボンニュートラル社会実現に貢献していく。

※レギュラートウ:フィラメント数が24K(24,000本)までの炭素繊維で、航空機や圧力容器等、高性能・高品位が要求される分野で使用されている。

<Toray Composite Materials America, Inc.(CMA)の概要>
事業内容 : 炭素繊維・プリプレグの製造・販売
本社所在地 : アメリカ合衆国ワシントン州タコマ
設立 : 2017年4月
代表者 : Dennis Frett(社長 兼 CEO)

<Toray Advanced Materials Korea Inc.(TAK)の概要>
事業内容 : PETフィルム、ポリエステル繊維、不織布、フィルム加工品、回路材料、水処理膜モジュール、炭素繊維・プリプレグ、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂の製造・販売
本社所在地 : 大韓民国ソウル特別市
設立 : 1999年12月
代表者 : 代表理事 社長(CEO&COO): 全海尚

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