東京計器、産総研と「ギ酸からの高圧水素製造装置-小型化」の共同研究開発を開始

・水素製造コスト低減への取り組み

 東京計器、子会社の東京計器パワーシステム(TPS)、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)は、7月12日、ギ酸からの高圧水素製造装置の小型・実用化モデルに関する共同研究開発を開始したと発表した。

■背景と狙い
 東京計器グループは、東京計器ビジョン2030における成長ドライバーの一つとして、水素・エネルギー事業の推進を図っている。

 TPSはこれまで、油圧制御技術を応用して都市部を中心とした水素ステーション向けに水素圧縮装置を提供してきた。一方、水素ステーションをはじめとした水素の供給網が不十分な地方や、比較的小規模な水素利用を想定した、オンサイトで利用できる小型・低コストの水素供給システムについて検討を重ねてきた。

 今回、産総研が技術実証したギ酸による高圧水素生成に着目し、技術実証用水素製造装置を商用レベルに発展させることを目的に、2025年3月31日までの研究開発契約を締結した。東京計器グループは、研究開発を通じて、水素エネルギーの更なる普及に取り組んでいく。

■研究開発の内容
 同研究開発では、ギ酸からの高圧水素製造装置に関する小型・実用化モデルの研究開発を行う。

 産総研ではこれまで、ギ酸からの高圧水素製造技術と社会実装に向けた研究が進められ、ギ酸水溶液と触媒を反応させ高圧水素を生成する技術実証がなされてきた。

 従来、水素を大量に貯蔵・輸送するためには圧縮(高圧化)が必要であり、多くの水素生成方式においては、大気圧と同等の圧力で得られた水素を圧縮装置によって高圧化している。ところが、ギ酸を用いた水素製造においては、高圧水素が直接得られることから、圧縮工程を省略でき、高圧水素製造における装置の小型化と低コスト化が期待できる。また、同方式では副産物として液化二酸化炭素が生成・分離されるので、この効率的な分離と利活用についても同時に検証しながら、研究開発を進めていく。

■ギ酸について
 産業用途では家畜飼料の防腐剤や皮なめし剤、凍結防止剤などに広く利用される化学物質。水素の貯蔵や輸送には多くのエネルギーを要するため、別の物質に変換して効率よく貯蔵・輸送するための水素キャリアの研究や開発が進められており、産総研では以前より水素の新たなエネルギーキャリアとしてギ酸に注目している。

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