ヤンマーホールディングス(大阪市北区)が6月22日に発表した2023年3月期(2022年度)連結業績によると、売上高は前年度比17.3%増の1兆222億円、経常利益は同26.2%増の618億円となった。前期に引き続き売上高・経常利益ともに過去最高を更新し、売上高は創業以来初となる1兆円を超える結果となった。また、旺盛な海外市場での需要増加により、海外売上高比率は前年比5.2ポイント増の60.7%となった。2022年6月に発表した中期戦略において2025年度目標としていた海外売上高比率60%を前倒しで達成した。
2022年度は、新型コロナウイルスによる行動制限等が広く緩和され、経済社会活動が正常化したことから、世界ならびに日本経済は穏やかに持ち直しの動きがみられた。しかし一方で、ロシアによるウクライナ侵攻によるエネルギーコストの上昇や世界的なインフレの進行とその抑制のための欧米各国の金融引き締め、円安、原材料価格の高騰、半導体などの一部の生産用部材の供給不足など、より厳しい経営環境が続いた。
■セグメント別の概況
<産業用機械事業>
同セグメントは、農業機械、建設機械、ガスヒートポンプ並びに常用・非常用発電機により構成。
農業機械の国内市場は、底堅い需要を取り込み、前年と同水準の売上を確保した。海外市場は、中国、韓国、トルコ、ブラジル等の東アジア及び新興国市場の市場開拓が進んだことにより、売上高は前年度を大きく上回った。
建設機械の国内市場は、前年と同水準の売上を確保した。海外市場は、北米・欧州市場の前年度より続く旺盛な需要と、円安の影響もあり大幅な増収を達成した。
ガスヒートポンプは、半導体部品不足の影響もあり、前年とほぼ横ばいとなったが、発電機は国内市場では大容量発電機の販売量が増加し、海外市場も世界的なエネルギー需要の高まりから、売上高は前年度を大きく上回った。
<内燃機関及び関連機器事業>
同セグメントは、産業用エンジン、舶用エンジン、コンポーネントにより構成。
小形産業用エンジンは、生産用部材の調達遅れが影響し、国内外の旺盛な受注に応えることができなかった。また、歯止めのかからない資材高騰の影響により、収益面でも厳しい一年となった。
舶用エンジンは、好調な海運市場を背景とする旺盛な建造需要と、メンテナンス需要を取り込み、前年に比べて増収を達成した。
トランスミッション、ギア、工作機械を中心としたコンポーネントは、国内・海外とも販売が好調に推移し、円安の影響もあり前年度に比べて増収を達成した。
■2024年3月期の連結業績見通し
中期戦略に基づき、舶用水素燃料電池システムや水素エンジン、産業機械用バッテリー動力の開発など、持続可能な社会を目指した「YANMAR GREEN CHALLENGE 2050」の取り組みを加速させる。加えて、次世代経営基盤構築に向けたDXの更なる促進やIT基盤構築の強化にも取り組む。
2024年3月期(2023年度)の連結業績見通しについては、農業機械、産業用エンジンおよび建設機械を中心に、底堅い国内需要と堅調な海外市場の需要を取り込み、売上高は1兆800億円(前年比5.6%増)を見込む。一方、前提となる為替レートを前期実績対比で円高に設定しているため、経常利益は500億円(同19.1%減)を予想している。
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