・業界初となるセパレータ保持器の採用と内部設計の見直しにより長寿命化を実現
NTNは6月13日、業界初となるセパレータ保持器1を採用し、業界最高水準の長寿命化と高速回転対応を両立した射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受「IMT2軸受」を開発したと発表した。電動式射出成形機のメンテナンスコスト低減やサイクルタイムの短縮化に貢献するとともに、クリーン環境にも対応する。
樹脂製品の製造に使用される射出成形機は、省エネルギー化や環境負荷の低減を背景に、従来の油圧式から、ボールねじとサーボモータを組み合わせた電動式が主流になっている。また、生産性の向上を目的に、射出成形機のメンテナンスコストの低減やサイクルタイムの短縮化が進み、ボールねじに使用される軸受には長寿命化や高速回転への対応が求められている。さらに、医療や食品分野などにおいてはクリーンルームなどの環境で射出成形機が使用されるケースも増えており、軸受の潤滑に用いられるグリースの飛散を防止するニーズも高まっている。
開発した射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受「IMT軸受」は、内部設計の見直しとセパレータ保持器およびシールの採用により、長寿命化と許容回転速度の向上、グリース飛散の防止を実現した。ボールのサイズや個数など内部設計を見直すことで、アキシアル基本動定格荷重を従来品比で約1.2倍、定格寿命を約1.7倍、許容回転速度を約1.8倍に向上させており、高負荷容量と高速回転対応を両立した。また、一般的に使用されるリング状の一体型保持器に比べて幅方向の寸法を抑えることができるセパレータ保持器を業界で初めて射出成形機用ボールねじ支持軸受に採用したことで、内部空間容積が同社従来品(一体型保持器)比で約30%増加した。これにより、軸受の寸法を変えることなくグリースの飛散を防止するシールを追加することが可能で、軸受周辺の環境をクリーンに保つことができる。さらにグリース充填量の増加も可能となり、グリース寿命も向上している。
日本ではすでに射出成形機の電動化が進んでいるほか、今後は中国や欧州などにおいても電動化が進んでいくことが予想されており、ボールねじ支持軸受の需要はさらに拡大していくと見られている。NTNは、開発品をグローバルに提案し、電動式射出成形機の生産性向上やランニングコストの低減に貢献していく。
*1:リング状の一体型の保持器と異なり、分割してボールの間に装着する保持器
*2:Injection Molding Thrust ball bearingの略
詳細は、ニュースリリース
コメントを投稿するにはログインしてください。