三菱重工、シンガポール政府系メランティパワー社向けにガスタービン発電設備を受注

・M701F形ガスタービン2台を中核とする出力68万kW級設備としてジュロン島で稼働へ
・2050年のネットゼロ目標に向けて貢献、脱炭素化を支援する将来の水素混焼も視野に
・現地で起工式を開催、ジュロン・エンジニアリングとのコンソーシアムにより2025年までの完成を目指す

 三菱重工業は5月22日、シンガポール政府でエネルギーの安全保障および健全な流通発展を担当するエネルギー市場監督庁(Energy Market Authority:EMA)の100%子会社であるメランティパワー社(Meranti Power Pte. Ltd.)向けに、M701F形ガスタービン2台を中核とする68万kW級発電設備を受注したと発表した。現地のプラント会社であるジュロン・エンジニアリング社(Jurong Engineering Limited:JEL)とのコンソーシアムによりEPC(設計・調達・建設)を手掛ける。このプロジェクトについては、5月19日に現地で起工式が開催され、2025年半ばの商業運転開始を予定している。

 ジュロン島に位置するこの新たな発電所は、急速起動が可能なシンプルサイクルのガスタービンにて構成され、需要の変動に応じた電力の供給が可能。発電所が完全に稼働すれば、エネルギー供給不足のリスクを最小限に抑え、シンガポールにおける送電網の安定性を高めることができる。

 三菱重工は、この発電設備向けに単機出力34万kWのM701F形ガスタービン2台、発電機等を供給する。JELは、付帯する機械設備の設計・供給、建設工事全般を担う。F形ガスタービンは、国内外で順調に受注を拡大し、受注累計は312台に到達、累計稼働時間は2,000万時間を超えた。同ガスタービンは、30%の水素混焼能力を備えており、将来的には水素専焼にも対応することが可能。また、安定的な営業運転を支援するため、発電所の主要機器の10年間の長期保守契約(LTSA)も締結した。

 メランティパワー社のマネージングディレクターであるタン・コー・キアット(Tan Chor Kiat)氏は、次のように述べた。「急速起動が可能なガスタービンを電力網に組み込むことは、エンドユーザーに安定した信頼性の高い電力を供給するための重要な一歩となるほか、水素混焼能力を備えることで、低炭素燃料への移行を目指すシンガポール政府の取り組みへの貢献も可能です。この革新的なプロジェクトを実現するために、信頼できるパートナーである三菱重工およびJELと協力できることを楽しみにしています」。

 また、三菱重工のGTCC事業部長代理兼海外営業部長である津久井 隆雄氏は次のように述べた。「シンガポールの電力安定供給に寄与するこの重要なプロジェクトに参画できることを大変光栄に思うとともに、実績あるF形ガスタービンは電力供給要請時の確実な給電にお応えできると確信しています。当社は、シンガポールの国家エネルギー戦略と2050年までのネットゼロ目標を支援することに責任を持って取り組み、我々が誇る業界トップクラスの性能と効率を備えた水素対応発電ソリューションを導入することにより同国のエナジートランジションを推進し、持続可能な未来を切り開く役割を果たします」。

 三菱重工は、高効率で信頼性の高いガスタービン発電設備の普及に一層力を注ぎ、世界各地の経済発展に不可欠な電力の安定供給に寄与するとともに、エネルギーの脱炭素化を促進することで地球環境の保全に貢献していく。

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