・油圧の暦年は前年比1.2%増の3,930 億円、年度は前年度比3.7%増の3,990 億円と予測
・空気圧の暦年は前年比9.1%減の5,586 億円、年度は前年度比9.0%減の5,755 億円と予測
日本フルードパワー工業会(JFPA)は5月18日、「2023年・年度油圧・空気圧機器需要見通し」を発表した。それによると、油圧機器は、暦年が前年比1.2%増の3,930億円、年度は前年度比3.7%増の3,990億円、空気圧機器は、暦年が前年比9.1%減の5,586億円、年度は前年度比9.0%減の5,755億円と予測された。
同工業会では、業界の需要動向を調査するため、毎年需要予測を行い公表している。2023 年においても「2023 年・年度及び2026 年・年度の需要動向」を調査するため、4 月上旬に「総需要委員会」(会員各社の22名で構成)を開催し、需要予測作業を行った。
以下、同資料より抜粋。図表は、資料をもとにkikai-news.netが作成。
■経済環境
2022 年の日本経済は、春に新型コロナウイルスまん延防止等重点措置が解除されて以降、消費と設備投資が前期比プラスで推移するなど緩やかに持ち直し、多くの需要分野でコロナ禍前の水準を回復した。一方、ロシアのウクライナ侵略等を起因としたエネルギー・原材料価格の高騰が起こり、経済活動に影響を与える事となった。
この世界的な物価急上昇に対処するため、米国は金融引締め政策をとり、その影響は各国に様々な影響を及ぼした。我が国でも、エネルギー価格高騰への対策や生活費支援等さまざまな施策が行われ、内閣府による今年3 月の月例経済報告では、「景気は一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。」と指摘されているように、一定の水準を保っているように見られるが、今後、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなる懸念がある。こうした経済環境の中で、今回総需要委員会及び油圧分科会並びに空気圧分科会を開催し、「2023 年・年度の需要見通し」を作成した。
■油圧機器出荷額
市場の約4 割を占める土木建機部門では、22 年は安定した公共投資に支えられ2年連続の増加となった。23年は、北米の金利上昇に伴う懸念材料があるが、公共投資・民間設備投資が続伸すると判断し、3年連続の増加と予測した。工作機械部門では、22 年の工作機械の受注総額が過去2番目に高い水準となったが、23 年は、工作機械業界では、設備投資が落ち着いた展開となり、緩やかに調整が入る程度で、大崩れはしないとの見通しを示していることもあり微増と判断した。
これらを踏まえ、暦年は前年比1.2%増の3,930 億円、年度は前年度比3.7%増の3,990 億円と予測した。
歴年ベース出荷額
2022 年 出荷額(実績) 3,883 億円(対前年比2.3%減)
2023 年 出荷額(予測) 3,930 億円(対前年比1.2%増)
年度ベース出荷額
2022 年度 出荷額(見込み) 3,849 億円(対前年度比3.1%減)
2023 年度 出荷額(予測) 3,990 億円(対前年度比3.7%増)
■空気圧機器出荷額
22 年の出荷額は、半導体製造装置や工作機械、輸出が需給ひっ迫に伴う単価上昇、在庫確保の動きによる数量増が相まって、過去最高の6,000 億円台となった。23 年は、全体の半数以上を占める輸出が、米欧の利上げ政策等により世界的に景気がやや減退すると見られ、また、米中の緊張関係の高まりにより特に中国向けが厳しいと見ている。主要需要先である半導体製造装置市場は、半導体が下降局面に入り、需給軟化に伴う生産調整や単価下落、業績悪化による減産や設備投資の延期・凍結が継続する見通しから、一般機械向けは、マイナス成長になると予測した。
これらを踏まえ、暦年は前年比9.1%減の5,586 億円、年度は前年度比9.0%減の5,755 億円と予測した。
暦年ベース出荷額
2022 年 出荷額(実績) 6,145 億円(対前年比11.0%増)
2023 年 出荷額(予測) 5,586 億円(対前年比9.1%減)
年度ベース出荷額
2022 年度 出荷額(見込み) 6,325 億円(対前年度比10.8%増)
2023 年度 出荷額(予測) 5,755 億円(対前年度比9.0%減)
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