・当面の目標 は「2026年度に売上高1兆円」
SMCが5月15日に発表した2023年3月期(2022年度)連結業績によると、売上高は、販売数量の増加と、 為替変動に伴う海外販売分の増収を主な要因として、 824,772百万円(前期比13.4%増)となった。運送費、人件費、IT関連費用等の増加により販売費及び一般管理費は増加したが、増収に伴う利益増加により営業利益は258,200百万円(同13.3%増)となった。為替差益 は減少したが、市場金利の上昇による受取利息の増加から、経常利益は305,980百万円(同12.1%増)、投資有価証券売却益の計上により、税金等調整前当期純利益は308,777百万円(同13.2%増)、親会社株主に帰属する当期 純利益は224,609百万円(同16.4%増)となった。 自己資本当期純利益率(ROE)は、前期に比べて0.6ポイント上昇して13.8%となった。
■経営成績等の概況
2022年度においては、各国でコロナ禍からの正常化が進み、製造業全般において設備投資が回復したが、部品・原材料の調達難の継続、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化、米中の緊張の高まり、欧米の金融引き締めによる景気後退の懸念など、先行きの不透明な状況が続いている。 自動制御機器の需要は、半導体・電機関連は、年度前半は高水準だったが、後半は世界的なインフレや景気後退の影響などにより、欧米を中心に設備投資先送りの動きが見られた。自動車関連は、半導体等部品不足の影響が継続し本格的な回復には至らなかったが、中国を中心にEVバッテリー関連需要が伸びた。工作機械関連、 医療機器関連、食品機械関連及びその他の業種向けは、コロナ後の新たな省人化・自動化需要があったが、景 気減速により一服感が見られている。
このような環境において、SMCグループは、自動化需要の伸長に対応した製品供給能力の拡大と、BCP(事業継続計画)に基づく生産の複線化を目的とした積極的な設備投資を進めた。さらに、顧客のCO2排出量削減に大きく貢献できる新製品開発や、販売活動におけるITを活用したグローバル連携の強化などの課題に引き続き注力した。加えて、脱炭素社会の実現に向け、「GHGプロトコル」に基づくScope1とScope2のGHG(温室効果ガス)排出 量を、2030年度までに48%削減し、2050年度までにカーボンニュートラルを達成するという中長期目標を策定し、 具体的な取り組みを開始した。
■今後の見通し
2024年3月期(2023年度)は、米中のデカップリング、ウクライナ情勢の緊迫化、各国の金利政策を受けた景気後退懸念など、 不透明な状況が継続するものと予想される。
業種別では、半導体・電機関連は、足元はメモリーを中心に各国で一時的に調整局面となっているものの、中期 的には成長が継続することが期待される。自動車関連は、半導体不足の解消による生産の回復、EVシフトによる バッテリー関連需要の増加を見込んでいる。工作機械関連、食品機械関連及び医療機器関連向けは、足元は設備投資が停滞しているものの、コロナ後の自動化需要の増加が見込まれる。
このような状況においてSMCグループは、当面の目標である「2026年度に売上高1兆円」を達成するため、積極的な設備投資、部材調達力の向上を含むBCP体制の構築、温調機器・電動機器等の製品、AMS(エアマネジメントシス テム)・増圧弁等の省エネ製品の拡販に努め、各地域でのシェアアップを図る。
次期の連結業績については、1USドル=130円、1ユーロ=145円、1人民元=19円の為替レートを前提に、売 上高807,000百万円、営業利益233,000百万円、経常利益253,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益183,000 百万円と予想している。
なお、SMCは、2022年6月以降、ロシア子会社に対する輸出及び新規投資をすべて停止している。将来、ロシアから完全に撤退すると仮定した場合、現地残余資産の回収に必要な現地当局の許認可が得られず、SMCグループ が保有しているロシア事業関連の資産が最大で120億円程度毀損するリスクがあるとしている。
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