日精樹脂工業が5月12日に発表した2023年3月期(2022年度)連結業績によると、売上高は期中後半以降、需要が減少傾向にあつたが、大型機および 特殊機の販売に注力したことで価格単価が上昇したこと等から前年同期比7.1%増の522億5百万円となった。営業利益は26億8千2百万円(前年同期比4.0%増)、経常利益は、為替差損5億3千5百万円を計上したこと等により
、24億2千7百万円(同17.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、18億3千5百万円(前年同期比31.5%減)となった。
2022年度における世界情勢は、世界各国で新型コロナウイルス感染症により停滞した経済活動が回復してきたが、ウクライナ情勢の悪化による農作物、エネルギー価格の上昇等および原材料不足等により先行き は不透明な状況で推移した。
同社グループが属する射出成形機業界では、新型コロナウイルス感染症による需要の低下から回復基調にあったが、期中後半以降、急激な原材料の高騰および資源価格の上昇、半導体不足等により厳しい経営環境となった。
このような状況のもと、同社グループは、長期的な視点からの成長戦略や業績目標を見据え、2026年3月期を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成に向け推進すると同時に2023年3月期を初年度とする第四次中 期経営計画に基づいた事業を展開した。また、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ機関変更を実施したことでこれまで以上に透明性の高い健全な経営体制を確立した。
■セグメントの状況
日本 :原材料および資源価格の上昇、部材不足等の影響があつたが、大型機、特殊機の営業を強化したこと等から 売上高(外部顧客への売上高)162億9千万円(前年同期比1.2%減)、セグメント利益は31億1千4百万円(同 70.2%増)となった。
欧米地域 :米国において、景気の後退および金利上昇等を背景に厳しい経営環境であったが、米国子会社の決算期の変更による影響もあり、売上高(外部顧客への売上高)245億3千8百万円(前年同期比37.2%増)、セグメント利 益は9億5千8百万円(同97.2%増)となた。
アジア地域:中国の都市封鎖による需要の停滞等から売上高(外部顧客への売上高)113億7千6百万円(前年同期比20.8% 減)、セグメント利益は4億8千9百万円(同39.8%減)となった。
■製品別売上高
主力である射出成形機については、売上高は399億3百万円(前年同期比5.0%増)となった。 このほか、周辺機器の売上高は23億2千1百万円(前年同期比13.8%増)、部品の売上高は76億8千万円(同 15.7%増)、金型等の売上高は、23億円(同11.6%増)となった。
■次期の見通し)
次期の見通しについては、ウクライナ情勢の長期化に伴う急激な為替変動および資源エネルギーの高騰等から世界的なインフレが懸念され併せて需要が減少することが予想されることから、厳しい経営環境が見込まれる。
このような状況下において、同社グループとしては、環境対応への啓蒙と新成形法の確立を進め、営業、生産、商品、リスク等の全ての企業活動を環境視点で考える「環境対応技術のビジネス化」を進め企業価値の 向上と売上増に繋げていく。
営業面においては、お客様の課題解決型企業として各種展示会、同社プライベート展を通して、顧客に 満足してもらえる提案型営業によりソリューションビジネスモデルを提案する。またSDGsおよび成形の理を具 現化する製品を計画的に市場に投入していく。
生産体制については、世界5極生産体制により生産能力を増強するとともに、最適地生産体制の強化と物流 の見直しとして各海外生産拠点に設計技術者および調達担当者を配置して現地での調達体制等を確立していく。
商品開発については、顧客が儲かる革新的な商品戦略として、長期ロードマップに基づく計画的な商品開 発を行い、市場投入を図っていく。
このような環境の中、翌連結会計年度(2024年3月期)の連結業績見通しについては、売上高46,000百万円 (前年同期比11.9%減)、営業利益1,200百万円(同55.3%減)、経常利益1,300百万円(同46.5%減)、親会社株 主に帰属する当期純利益900百万円(同51.0%減)を予想している。
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