北越工業、22年度売上は33.7%増の490億円、23年度予想は4.1%減の470億円

 北越工業が5月10日に発表した2023年3月期(2022年度)連結業績によると、売上高は49,000百万円(前期比33.7%増)、営業利益4,842百万円(同35.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,752百万円(同36.5%増)となった。

 2022年度におけるわが国経済は、ウィズコロナのもとで景気は緩やかに持ち直しているものの、原材料やエネルギー価格の高騰により物価が上昇し、企業業績や家計に大きな影響を及ぼした。世界経済においては、米中関係の緊張の高まりや、ウクライナ情勢の長期化などの地政学的リスクの影響により、依然として先行きが不透明な状況が続いた他、欧米諸国ではインフレ抑制と物価安定を企図した急速な金融引締めにより、景気の減速が懸念された。

 このような情勢のなかで北越工業グループは、中期経営計画「中期ビジョン2024」に掲げた「常に新しい価値を追求し、社会と産業の発展に貢献する」企業を目指して、成長戦略に取り組んできた。また、経済回復する地域での急激な受注増加に対して生産能力の向上を図ると共に、調達環境悪化の影響を最小限に抑えるよう努めた。加えて、販売価格の見直しや諸経費削減を推進し、利益改善を図ってきた。

 北越工業2023年3月期データ

<建設機械事業>

 建設機械事業セグメントは、主にエンジンコンプレッサ、エンジン発電機、高所作業車などの事業で構成。販売面では、国内はインバウンド向けや全国旅行支援によってホテルなどの改修・新築工事案件が戻ってきており、主要都市での再開発事業は依然として継続するなど、旺盛な建設工事需要を背景に、高所作業車の出荷が大きく伸長した。海外においては、ロシア向けの出荷停止は継続したが、前年度から続く北米向け受注の更なる増加や、東南アジアの経済回復による需要の高まりに加え、オセアニアの資源開発向け需要の増加等によって大きく売上を伸ばした。利益面では、鋼材を中心とした原材料価格の高騰が大きな下押し要因ではあったが、売上の増加や工場の操業度が高まったことに加え、北米向け販売における円安効果も寄与し、前年同期比で増益となった。

<産業機械事業>

 産業機械事業セグメントは、主にモータコンプレッサ、非常用発電機、部品、サービスなどの事業で構成。販売面では、主力のモータコンプレッサは、中期経営計画「中期ビジョン2024」に掲げた目標達成に向けて、国内のシェア獲得を推し進めた結果、出荷が堅調に推移した。また、コベルコ・コンプレッサ㈱向けのOEM供給が安定軌道に乗ったことや、大型発電機の販売が好調に推移したこともあり、全体では前年同期比で増収となった。利益面では、原材料価格の急激な高騰は大きな下押し要因ではあったが、一部の製品価格の値上げや大型発電機による利益改善が功を奏し、前年同期比で増益となった。

■次期の見通し

 今後の経済見通しについては、足元では国内はウィズコロナのもとで景気は緩やかに持ち直しているものの、原材料やエネルギー価格の高騰により物価が上昇しており、海外でもインフレ抑制と物価安定を企図した急速な金融引締めにより景気の減速が懸念され、これまでに増して先行きは不透明な状況。このような経済環境の下、北越工業グループはこれまで培ってきたコアテクノロジーを基盤に、変化する市場にマッチした製品展開を図り、持続的な企業価値の向上を目指していく。

 販売面の国内では、経済の回復に沿って設備投資意欲の高まりが見込まれ、特に新規建設工事の増加が顕著になっている。海外においても北米の他、各国におけるインフラ投資効果により建設機械の需要の高まりは今後も継続するものと考えている。利益面では更なる原材料の高騰が予想され、前年度のような為替益による補填が難しい状況が予想される。

 2024年3月期の連結業績の見通しについては、以下のとおり予想している。

 売上高47,000百万円(前期比4.1%減)、営業利益3,620百万円(同25.2%減)、経常利益3,770百万円(同29.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,530百万円(同32.6%減)。

 なお、業績予想の為替レートは、1米ドル=125円、1ユーロ=135円を前提としている。

 北越工業の2023年3月期決算短信