三菱ロジスネクストが5月10日に発表した2023年3月期 (2022年度)業績によると、連結売上高は、6,154億2千1百万円(前年同期比32.2%増加)となった。 利益面では、原材料や輸送費の高騰影響を受けながらも、売上高の増加に加え、価格改定の効果が大きく寄与し、 営業利益は147億9百万円(同309.4%増加)、経常利益は116億4千6百万円(同259.4%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は69億1千3百万円(同864.0%増加)となった。 のれん等償却の影響を除くと、営業利益は249億9千5百万円(同92.1%増加)、営業利益率は4.1%(同1.3ポイ ント増)となっている。 なお、売上高、営業利益、のれん等償却前営業利益については過去最高となった。
■経営成績の概況
2022年度における世界経済は、インフレ抑制を目的とした各国中央銀行による利上げや昨年2月以来のロシ アによるウクライナ侵攻の影響から停滞、減速状況が続いている。また、コロナ禍からの急激な回復局面で引き起こされた、資源高・原材料市況や輸送運賃の高騰・サプライチェーンの混乱は、全体的には改善の兆しが見られるものの、地域によっては依然として継続している。
このような中、フォークリフトを始めとする物流機器市場は、国内においては、コロナ禍前と同様の水準で堅調に推移しており、海外においては、米州では景気の減速感もあって買い控えによる若干の需要減少はあるものの物流ニ ーズは底堅く、依然としてコロナ禍前を上回る需要が継続している。その一方で、欧州はロシアによるウクライ ナ侵攻以降の資源高などで企業活動が鈍化して、コロナ禍前の水準は維持しながらも縮小傾向で推移している。また、アジアは好調だった前年度と同様に高い水準で推移しているが、中国はゼロコロナ政策の解除により回 復基調にあるものの、年度前半の落ち込みを挽回するには至っていない。同社においては、半導体不足から始まった様々な部品供給の遅れによるリードタイムの長期化、原材料費・輸送費を始めとしたコスト高は前年度から継続しているが、グループ各社の受注は、地域差はあるものの全体としては概 ね順調。国内、海外において生産、出荷を推進しており、価格改定の効果も出てきている。しかし、 サプライチェーンの安定化には未だ不安を抱え、インフレ下における世界経済の先行きは依然として厳しいものと想定され予断を許さない状況が続いている。同社としては、引き続き部品の確保に努めながら生産整流化による更なる出荷促進に取り組むとともに、併せてコストの削減にも注力していく。
■セグメントごとの経営成績
(国内事業) 国内事業は、受注が堅調に推移する中、部品欠品のために生じた年度前半の出荷不足を挽回しきれなかったものの、為替の円安影響により、売上高は1,763億2千5百万円(前年同期比1.4%増加)とった。セグメント利益 は、コスト高に比して価格改定効果は限定的であり、5億1千万円(同66.8%減少)となった。
なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は53億4千1百万円(同16.0%減少)となっている。
(海外事業) 海外事業は、米州、欧州、アジアでの販売台数増加に加え、為替の円安影響が追い風となり、売上高は4,390億9 千5百万円(前年同期比50.7%増加)となった。
セグメント利益は、売上高の増加や価格改定効果が寄与し、 141億9千9百万円(同590.7%増加)となりました。 なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は196億5千3百万円(同195.3%増加)となっている。 特に米州においては、好調な受注を背景とした売上高の大幅な増加に加え、販売子会社のレンタル事業の好調もあり、セグメント利益の増加に大きく寄与した。
■今後の見通し
コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む一方、サプライチェーンの安定化には未だ不安を抱えていることに加え、インフレ率の高止まりや欧米諸国での金融引締めによる世界経済への影響などが懸念され、先行きは引き続き不透明感が強い状況にある。。
このような状況のもと、 同社の中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」の最終年度にあたる2023年度 (2024年3月期)の連結業績については、一層の生産整流化に努めて出荷を促進し、価格改定効果の刈り取りを含む適切なコスト高への対応を実施することで、いずれも過去最高となる、売上高6,300億円(前期比2.4%増加)、営業利益250億円(同70.0%増加)、経常利益230億円(97.5%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益130億円(同88.0%増加)を見込んでいる。なお、その場合ののれん等償却前営業利益は350億円、のれん等償却前営業利益率は5.6%となる。
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