三菱重工、シンガポールの新交通システム輸送力増強プロジェクトで新車両8編成を追加受注

・2022年の車両17編成(34両相当)供給および既存車両基地の大型拡張に伴うシステム更新工事に次ぐ受注
・2003年の同LRT開業以来、三菱重工グループの豊富な知見を生かし一貫して安定運行に貢献

 三菱重工業は5月9日、アジア地域拠点であるシンガポールのMitsubishi Heavy Industries Asia Pacific Pte. Ltd.(以下、MHI-AP)と共同で、シンガポール北東部を走る全自動無人運転車両システム(AGT:Automated Guideway Transit(注1))「センカン・プンゴルLRT(注2)」向けの2両連結車両8編成(16両相当)をシンガポール陸上交通庁(LTA:Land Transport Authority)から新たに受注したと発表した。2022年1月に受注した同LRTの輸送力増強プロジェクト工事(注3)の一環で追加受注したもの。

 新車両も、センカン・プンゴル地区の景観になじむ外観デザインを生かしつつ、運行事業者のニーズに応えO&M(Operation and Maintenance:運用・保守)の効率性を向上した仕様とした。三菱重工グループは同プロジェクトにおいて、2022年に車両17編成(34両相当)の供給および既存車両基地の大型拡張に伴う信号、軌道、車両保守機器といったシステム一式の更新工事を受注している。2003年の同LRT開業に当たって納入した車両ならびにシステム一式は、その高い信頼性が評価されており、以降20年にわたり三菱重工グループはシステムの改造、車両基地の拡張、各種アフターサービスを一貫して手掛けている。

 同LRTは、地下鉄北東線の2駅(センカン駅・プンゴル駅)と住宅街を結ぶ路線長23.3kmの支線で、近年の同地区人口増加に伴う利用者増に対応するべく、既存線の輸送能力増強が進められている。三菱重工グループは、アジア地域における交通サービス事業のハブとしてMHI-AP内に「テクニカルサービスセンター」を有し、同地区における交通システム製品の運行・保守およびアフターサービス体制を構築しており、運行事業者からの問い合わせや依頼にタイムリーに応える“ワンストップサービス“で高い評価を受けている。

 三菱重工は、4月1日付けでグループ会社の三菱重工エンジニアリング統合した。三菱重工グループは今後も国内外の交通システムにおける世界トップクラスの納入実績、プロジェクトマネジメント能力、豊富な知見・ノウハウを生かし、シンガポールをはじめとする世界各地の経済発展、交通利便性向上といった地域課題への対応と解決策の提供を目指す。また、CO2を排出しないクリーンな輸送手段として注目されているAGTの納入を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。

注1 電力駆動により完全自動走行し、ゴムタイヤ方式の採用で走行が滑らか、かつ低騒音なのが特長。

注 2 LRTは元来「Light Rail Transit(次世代型路面電車)」の略称として広く使われているが、センカン・プンゴルLRTは、その高速性能にちなんでLight Rapid Transitを略称としている。

注 3 センカン・プンゴルLRTの輸送力増強プロジェクト工事について、詳しくは以下のプレスリリースを参照。
https://www.mhi.com/jp/news/220217.html

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