㈱牧野フライス製作所が4月28日に発表した2023年3月期(2022年度)連結業績によると、売上高は2,279億85百万円(前年同期比22.2%増)、営業利益174億92 百万円(同54.8%増)、経常利益199億6百万円(同39.5%増)、純利益160億73百万 円(同33.5%増)となった。受注は2,495億96百万円(同9.0%増)で前年度を上回り、過去最高となった。前年度に比べ主として為替レートが円安で進行したことで、受注の円換算額が大幅に増加したこと によるもの。
2022年度の報告セグメント別の受注状況(現地通貨ベース)は以下のとおり。
<セグメントⅠ >( 牧野フライス製作所「個別」および国内連結子会社 )
牧野フライス製作所の国内受注は前年度を上回った。半導体製造装置と自動車の部品加工向けを中心に受注が増加した。第4四半期に半導体製造装置 向けの受注が減少したが、一般機械や医療向けが増加したことで受注水準を維持した。
<セグメントⅡ >( MAKINO ASIA PTE LTD )
アジアは前年度を上回った。中国では、上期に新エネルギー車など自動車向けや、コネクタなど電気電子部品の金型向け、様々な 産業の油空圧部品向けで受注が集中した。下期は景気減速の懸念から受注が減少に転じた。通期では前年度を上回る結果になった。インドは前年度並みとなった。二輪やトラックなど自動車の部品加工向けのほか、航空機向けの 受注があった。
<セグメントⅢ >( MAKINO INC. )
アメリカは前年度を下回った。第2四半期以降、景気減速の懸念により、自動車と半導体製造装置向けを中心に顧客が設備投資に慎重になった。医療関連の部品加工向けは堅調を維持した。航空機向けはまとまった受注のあった前年度に対し、下回った。
<セグメントⅣ >( MAKINO Europe GmbH )
ヨーロッパは前年度を上回った。航空機向けが増加した。半導体製造装置や自動車向けの受注は前年度並みを維持した。
■今後の見通し
次期の受注は、当期を下回る計画。一部の地域を除いて受注が減少するほか、為替レートを円高で想定することで、円換算額が減少する見通し。上期は当期の水準を下回る受注が続くと見ている。下期はEV(電気自動車)など自動車関連や半導体製造装置向けを中心に、受注が増加に転じる見通し。
次期の報告セグメント別受注見通し(現地通貨ベース)は以下のとおり。
<セグメントⅠ >(牧野フライス製作所「個別」および国内連結子会社)
牧野フライス製作所の国内受注は、若干当期を下回る計画。年末にかけて、半導体製造装置向けの受注が増える見通し。自動車向けは受注水準の維持に努める。
<セグメントⅡ >( MAKINO ASIA PTE LTD)
次期のアジアは、当期を下回る計画。中国は、自動車向け、電気電子部品の金型向けで受注が集中した当期を下回る計画。引き続きお 客様が設備投資に慎重。新エネルギー車など自動車向けを皮切りに、上期中に受注が増加に転じることを期待している。
インドは当期を上回る計画。自動車の部品加工向けで大口の案件を含み、引き合いが増加している。自動車の金型や、航空機向けなど、成長が見込まれる分野に同社の特長ある製品、サービスを展開することで拡販に努める。
アセアンは、当期並みとなる計画。サプライチェーンの強化のための設備投資が出てくること で、受注水準を維持する見通し。半導体製造装置向けの受注は下期以降の増加を期待している。
<セグメントⅢ >( MAKINO INC.)
次期のアメリカは、当期を下回る計画。引き続き景気減速の懸念が顧客の設備投資に影響する と見ている。2022年度の主要な向け先であった、自動車および半導体製造装置向けの受注は、下期に増加 に転じると見ている。航空機の増産に伴い、航空機向け受注は増加する見通し。インプラントや人工骨などの医療関連も堅調を維持する見通し。
<セグメントⅣ >( MAKINO Europe GmbH )
次期のヨーロッパは、当期を下回る計画。半導体製造装置向けが減少すると見ている。様々な産業の油空圧部品向けや、航空機向けの引き合いが増加している。このほかエネルギー関連、自動車向けの受注を獲得することで、減少が小幅に留まるよう取り組む。
■今後の見通し
2024年3月期の連結業績予想は、次のとおり。
売上高208,000百万円(前期比8.8%減 )、営業利益11,700百万円(同33.1%減 )、経常利益12,700百万円(同36.2%決算)、親会社株主に帰属す る当期純利益10,100百万円(同37.2%減)。
上期の売上は、期初の受注残が高水準であることで前年同期並みとなる計画。通期の売上は前年同期を下回る計画。上期の受注が前年同期を大きく下回ることで下期の売上が 減少することと、円高による円換算額の減少による。 売上に伴い利益も減少する計画。コストダウンを進めることで、減少幅を抑えられるよう取り組む。
2023年4月に、同社の新しい省エネ技術「eSTABILIZER」を発表した。工場内の温度変化によっ て生じる機械の変形を予測し、自動制御することで安定的な高精度加工を実現するとともに、空調にかかる工場の消費電力量削減に寄与する。これを既存の当社製品の省エネ技術とあわせて展開すること で、環境に対する取り組みを強化する。
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