・100基超の製造実績を生かし、安全性・信頼性の高い蒸気発生器の製造・取替を実施
・加圧水型軽水炉の重要設備である蒸気発生器の最新化で、原子力発電プラントのさらなる信頼性向上に貢献
三菱重工業は4月26日、関西電力の高浜発電所3、4号機(福井県大飯郡高浜町)向けに、加圧水型軽水炉(PWR:Pressurized Water Reactor)で用いられる取替用の蒸気発生器(SG:Steam Generator)6基を受注したと発表した。各プラントが3基ずつ有するSG全てを取り替える計画で、三菱重工神戸造船所(神戸市兵庫区)において順次製造した後、現地での取替工事も実施する。
PWRプラントにおける最重要機器の1つであるSGは、原子炉で発生させた熱からタービンを駆動するための蒸気を生み出す重要な役割を担っている。本体内部に約3,400本配置された逆U字形の伝熱管を1次冷却系(原子炉系)の高温高圧水が通過、その際に2次冷却系(タービン系)に熱が伝わり蒸気を発生させる構造となっている。国内向けの標準機種で全高が約21m、胴部の外径が最大で約5mあり、重量は約340トンにまで達する。
SGは、PWRを構成する機器の中でも特に高い安全性と信頼性が求められることから、大型構造物であるにもかかわらず0.01mm単位での加工精度が必要で、非常に高い設計・製造技術力が要求される。国内では、原子力発電の黎明期から現在に至るまで一貫してPWRプラントを手掛けてきた三菱重工のみが製造しており、今回製造するSGでは、耐食性に優れた690系ニッケル基合金製の伝熱管を採用するなど、国内外で実績のある最新設計を適用している。三菱重工はこれまで、国内向け97基に加えて、海外(フランス、ベルギー、アメリカ)向けにも31基のSGを製造、国内外の顧客からも高い評価を受けており、今後も原子力発電所の長期運転を見据え、顧客の取替ニーズに応えていく。
三菱重工は、原子力発電プラントメーカーとして培ってきた総合技術力を生かし、信頼性向上に資する製品を供給することで、1985年から運転を続ける高浜発電所3、4号機を始めとして、原子力発電所の安全性向上および安定運転に貢献していく。