・環境配慮型の逆浸透膜法プラントへの転換に貢献
横河電機は4月25日、子会社のヨコガワ・サウジアラビア(本社:ダーラン)が、サウジアラビア海水淡水化公社の建設する、日量100万立方メートルの造水量を誇る世界最大規模の逆浸透膜法海水淡水化プロジェクト「One Million Project」向け制御システムを受注したと発表した。受注元はサウジアラビアの建設会社Saudi Services for Electro Mechanic Works(サウジ・サービシズ・フォー・エレクトロ・メカニック・ワークス)と総合水事業会社のMetito Saudi Arabia(メティト・サウジアラビア)の共同企業体。
同プロジェクトは、サウジアラビア東部のペルシャ湾に面した都市ジュベイルに位置する既設の蒸発法海水淡水化プラントを、逆浸透膜法海水淡水化プラントに置き換えるもの。既存のプラント設備を活用して逆浸透膜の設備を導入することにより、プラント寿命を延ばし、新設するよりも低い環境負荷でプラントを建設する。中東では、かつては石油やガスなどの化石燃料を使用する蒸発法海水淡水化プラントが主流でしたが、現在では、近年の逆浸透膜などの膜濾過技術の発達により、造水効率が高く、二酸化炭素排出量も少ない逆浸透膜法海水淡水化プラントが主流となりつつある。同プロジェクトは、サウジアラビアの掲げる、2060年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを目指す「Net Zero Vision 2060」の施策の一環。
YOKOGAWAが本プラント向けに納入するのは、制御システム、安全計装システム、生産管理システム、運転訓練シミュレータ、サイバーセキュリティ対策ソリューションなど。2024年1月までに納入を完了し、2024年12月に稼働予定。横河が携わった海水淡水化プラントは全世界で100基以上あり、特にサウジアラビアにおいては、これまで複数の海水淡水化プラント向け制御システムや、淡水化した水を市街地に運ぶパイプライン向け監視システムなどを提供してきた。
ヨコガワ・サウジアラビア社長の重野 邦正は次のように述べている。「サウジアラビアでは飲料水の大部分を海水淡水化に頼っており、人口増加に伴いその需要が増加しています。当社は世界各国で培った水インフラ分野での経験や、デジタル技術を活用した効率的なプラント運用のノウハウを生かし、飲料水の安定提供のみならず温室効果ガス排出削減にも貢献していきます。」