㈱クボタは4月25日、リチウムイオン二次電池*の負極材料として使用するチタンニオブ複合酸化物の量産を2024年末に開始し、電池材料市場に参入すると発表した。自動車をはじめとする電動化の流れに伴いリチウムイオン二次電池の性能向上への期待が高まる中で、次世代電池材料の生産を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。
*正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う電池
■事業参入の経緯
脱炭素対応が各国で推進される中で、電気自動車(EV)などに使用されるリチウムイオン二次電池は需要拡大が見込まれている。また、電動化した製品の普及にあたり、リチウムイオン二次電池には小型化や大容量化はもとより、急速充電性や長寿命化など、更なる性能向上が求められている。
一般的にリチウムイオン二次電池の負極材料として用いられる黒鉛と比べて、チタンニオブ複合酸化物は、電池の長寿命化や優れた急速充電性を実現しうる材料。トラックやバスを含むEVをはじめ、電動化需要への貢献が期待される。
クボタは、自動車用ブレーキパッドなどの摩擦材に用いられるチタン酸カリウム「TXAX」(ティーザクス)を開発・生産するなど、これまでチタン酸化合物を産業向け材料として供給してきた。
クボタはこのほど、チタン酸化合物の量産実用化における過程で培った様々な固有技術やノウハウを用いて、リチウムイオン二次電池用負極材料であるチタンニオブ複合酸化物の合成技術1及び製造プロセス技術2を開発した。2024年末に量産を開始し、月間生産能力を50トンから段階的に引き上げていく予定。
*1.複数の元素や化合物から、目的物である一つの化学物質を作り出す技術
*2.目的物である化学物質の製造工程における、高収率化や品質安定化、環境負荷やエネルギー消費の低減等に関わる技術
■チタンニオブ複合酸化物の量産について
量産開始時期:2024年末
生産能力:50トン/月(当初)
生産場所:阪神工場 尼崎事業所
設備投資額:10億円超