技研製作所、23年8月期第2四半期売上は5.0%増の約149億円、23年8月期予想は4.5%減の290億円に下方修正

 ㈱技研製作所が4月7日に発表した2022年8月期第2四半期(2022年9月~23年2月)連結業績によると、売上高は、14,933百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益は2,146百万円(同23.0%減)、経常利益は2,194百万円(同23.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,374百万円(同27.4%減)となった。

 技研製作所2023年8月期第2四半期データ

 第2四半期連結累計期間における技研製作所グループを取り巻く事業環境は、国内の公共投資が底堅く推移し、民間建設投資も堅調さを維持したことから、顧客の設備投資は順調に推移した。しかし、鋼材価格高騰を受けて一件あたりの工事規模が縮小する傾向が生じており、事業への影響が表れ始めている。この傾向は当面続くと想定されることから、今後も注視していく。

 国内における工法提案活動では、災害復旧・復興事業や防災・減災対策、インフラ長寿命化対策等の国土強靭化関係を中心にインプラント工法(※1)の普及拡大に取り組んだ。その結果、河川護岸の耐震補強や港湾護岸の改良、豪雨災害で被災した国道や導流堤の復旧、高速道路の拡幅のための擁壁構築に採用される等、採用数は順調に増加した。 (※1)一本一本が高い剛性と品質を有した杭材(許容構造部材)を地中深く圧入し、地震や津波、洪水などの外力に粘り強く耐える「インプラント構造物」を構築する工法。

 海外売上比率7割(2031年8月期に5割)を目指す海外展開では、オランダ・アムステルダム市の「世界遺産の運河護岸改修にかかる新技術開発プロジェクト」において、グループ会社の㈱技研施工の技術指導のもと、合弁会社「G-Kracht B.V.」による実証施工が順調に進捗した。1月には電動のGRBシステムを現場投入し、「省スペース施工」によって並木の伐採を回避しながら工事を進めており、環境・美観を維持する工法として発注者から高い評価を受けている。

 アジア地域では、台湾およびインドネシアにて新規ユーザーを獲得しサイレントパイラーSA 100を納入したほか、シンガポールのユーザーに対してサイレントパイラーF301-900を販売するなど、圧入市場形成の進捗に伴い製品販売が順調に進んでいる。

 ユーザー開拓の取り組みでは、建設機械レンタル大手・㈱アクティオに2月、新たにサイレントパイラーを販売して運用台数を増やすとともに、顧客開拓での協力を本格化した。また建設機械レンタル大手・西尾レントオールに同月、技研製作所とグループ会社のシーアイテックが共同開発した杭精度管理システム「インプラント NAVI」の追加販売を行い、運用台数を増やした。基礎工事の施工管理の省人化と生産性、信頼性の向上を実現する本製品は非常に好評で、多方面から問い合わせが増加している。圧入技術の優位性を高めるインプラント NAVIのさらなる普及を、インプラント工法の採用拡大、ユーザー開拓につなげていく。

■セグメント業績
①建設機械事業
 国内において公共事業で国土強靭化事業等が推進され、民間建設投資が堅調さを維持する中、防災・減災工事の本体施工等で使われる900mm幅ハット形鋼矢板用のサイレントパイラーF301-900の販売が進んだほか、汎用機の入れ替えが順調に推移した。また、従来の硬質地盤対応機では圧入困難だった超硬質地盤への施工を可能とし、鋼矢板の圧入施工の適用範囲を広げる「フライホイール式パイルオーガ」の販売も好調だったことから、売上高は10,085百万円(前年同期比0.8%増)となった。一方、粗利率の高い製品販売の減少や原材料価格の高騰、前期の製品値上げ(※2)の業績寄与が下期以降になること等から、セグメント利益は2,582百万円(同20.4%減)となった。(※2)2022年6月受注分より製品価格を5~10%引き上げた。

②圧入工事事業
 災害復旧・復興工事や防災・減災関連工事等において工法採用が増加する中、南海トラフ巨大地震対策としての海岸堤防改修(高知県)、橋梁架け替えに伴う橋台基礎構築(東京都)、国道拡幅のための擁壁築造(愛知県)、老朽化した河川護岸の改修(広島県)、岸壁の整備(香川県)等において工事が順調に進捗した。このような状況のもと、圧入工事事業の売上高は4,848百万円(前年同期比15.2%増)、セグメント利益は831百万円(同33.1%増)となった。

■2023年8月期の見通し
 2023年8月期の業績については、連結で売上高29,000百万円(前期比4.5%減)、営業利益3,200百万円(同32.7%減)、経常利益3,250百万円(同32.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,000百万円(同38.2%減)に修正した。

■修正の理由
 2023年8月期通期の連結業績予想については、オセアニア地域、北米・南米地域をはじめとして、海外事業において想定していた受注が見込めないことや、国内事業において鋼材価格の高騰を受けて工事案件一件あたりの工事規模が縮小傾向にあり、その影響による杭材用部品の販売減が第3四半期以降も続くことが想定されることなどから、売上高が当初計画を下回る見込みとなった。利益も利益率の高い建設機械事業セグメントの売上減や販管費の増加を考慮し、通期業績予想を下方修正した。

 同社グループは、飛躍的な発展を目指し、中期経営計画(2022年8月期-2024年8月期)の長期事業展望に「2031年8月期の売上高1,000億円」を掲げた。中計の中間年度に当たる当期は、達成に向けた数値目標や戦略を示した「長期ロードマップ・GIKEN GOALS 2031」を公表。海外売上比率7割を目指す中、ロードマップでは2031年8月期に5割を目標としており海外事業の強化に着手している。オランダ・アムステルダム市等で市場形成が順調なヨーロッパ、アジア地域を軸に、安定して成長する海外の圧入市場構造の確立に注力していく。

 技研製作所の2023年8月期第2四半期決算短信

 第2四半期決算説明資料