安川電機、2023年2月期売上収益は 16.6%増の約5,560億円

・24年2月期予想は4.3%増の5,800億円

 安川電機が4月7日に発表した2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日:22年度)連結業績によると、売上収益は前期比16.6%増の5,559億55 百万円、営業利益は同29.2%増の683億01百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同35.0%増の517億83 百万円となり、いずれも過去最高 を更新した。半導体など長期化する部品の供給不足や中国のロックダウンによって生産制約の影響を受けたが、下期からは部品の需給逼迫の緩和によって 生産が回復し、好調な受注を売上につなげることで増収となった。利益面については、原材料・物流費の高騰影響やインフレ対応に伴う間接費の増加などがあった一方、製品の価格転嫁による採算性の改善や為替の円安影響に加え、退職年金制度の変更や遊休不動産の売却などに伴うその他の収益もあり、営業利益は前年同期比で増加した。

 2022年度における安川電機グループの経営環境は、製造業全般における生産の高度化・自動化を目的とした設備投資が継続的に行われた。特にグローバルなEV(電気自動車)化の加速により設備投資が伸長し、リチウムイオン電池関連の需要も拡大した。また、米国などでオイル・ガス関連の需要が大幅に増加した一方、上期に好調だった半導体市場ではメモリ価格の下落によって在庫調整が発生するなど、期末にかけて設備投資が抑制された。中国ではコロナ禍により経済活動が停滞し、設備投資が伸び悩んだ。

■地域別経営環境

日本:需要は総じて堅調に推移したが、期末にかけて半導体市場ではメモリ価格の下落によって在庫調整が進んだ。

米国:自動車やオイル・ガス関連などの設備投資が期を通じて拡大し、一般産業においても自動化投資が継続するなど、需要は好調に推移した。

欧州:自動車や木工機械などを中心に、生産設備の自動化に向けた積極的な投資が継続するなど、需要は底堅く推移した。

中国:EV化の加速を背景に、自動車やリチウムイオン電池など一部の市場で需要は好調に推移した。その一方、コロナ禍におけるロックダウンやゼロコロ ナ政策終了に伴う感染拡大などにより経済活動が停滞し、期末にかけて一般 産業を中心に設備投資は伸び悩んだ。

中国除くアジア:韓国・台湾などで半導体市場の需要が期末にかけて減少したものの、自動車 やリチウムイオン電池関連などの設備投資は総じて高い水準で推移した。

 安川電機2023年2月期データ

■セグメント別経営成績

<モーションコントロール>

 売上収益 2,521億26百万円 (前年同期比 +10.9% )、営業損益 361億93百万円 (前年同期比 △5.2% )

 モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で 構成。売上収益は前年同期比で増加したが、利益面においては中国におけるゼロコロナ政策の影響や、グローバルでの原材料費や物流費の高騰影響などにより減益となった。

〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕 米国・日本などで上期を中心に半導体・電子部品向けの需要が好調に推移した一方、中国においては、コロナ禍による経済活動の停滞影響を受け、一般産業を中心に設備投資は低迷した。

〔インバータ事業〕米国においてオイル・ガス関連の需要が大幅に増加したほか、グローバルで脱炭素化(カーボンニュートラル)を意識した省エネ化投資が加速した。また、生産面においては上期に中国のロックダウン影響を受け遅れが生じていたが、期末にかけて部品不足が改善するなど生産を挽回したことから、事業全体の売上収益は大幅に伸長した。

<ロボット>

 売上収益 2,238億29百万円 (前年同期比 +25.3% )、営業損益 261億26百万円 (前年同期比 +51.5% )

 ロボットセグメントの主要市場である自動車においてグローバルでEV化が加速し、リチウムイオ ン電池関連の設備投資を拡大する動きが継続した。また、日欧米など多くの地域では、人件 費高騰・労働力不足を背景に、物流・食品・農機をはじめとする一般産業分野において、生産の 高度化・自動化を目的とした投資が行われた。このような市場全体の需要拡大を的確に捉え、部品の内製化などによる生産の効率化を進めた結 果、売上収益・営業利益はともに前年同期比で大幅に増加した。

<システムエンジニアリング>

 売上収益 511億11百万円 (前年同期比 △2.2% ) 、営業損益 25億74百万円 (前年同期比 +21.0% )

 鉄鋼プラントや上下水道用電気システム関連の売上が伸び悩んだ一方、太陽光発電用パワーコンディショナの販売は伸長した。この結果、セグメント全体の売上収益は前年同期比で減少したが、利益面においては効率的な事業運営や経費抑制の徹底により、増益となった。

<その他>

 売上収益 288億88百万円 (前年同期比 +38.3% )、営業損益17億87百万円 (前年同期比 +365.3% )

 その他セグメントは、物流サービス事業などで構成。営業利益は不動産の売却益などにより増加した。

■2024年2月期業績予想

 2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の安川電機グループを取り巻く経営環境は、EVやリチウムイオン電池関連をはじめ、製造全般における自動化・省力化に関する設備投資が継続する見込み 。これらの継続的な需要を的確に捉えることに加え、受注残の確実な消化により売上は伸長する計画。

 このような状況を受け、2024年2月期の業績予想は以下のとおり。

 売上収益5,800億円(前期比4.3%増)、営業利益700億円(2.5%増)、税引前利益727億円(2.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益513億円(0.9%減)。

 2023年3月1日から2024年2月29日までの期間における平均為替レートは、130円/米ドル、 140円/ユーロ、19円/元、0.1円/ウォンを想定している。

 安川電機の2023年2月期 決算短信

 2023年2月期通期補足説明