東亜建設工業、重機の遠隔操作・自動運転システムを砂撒船に活用

・海上作業の生産性向上を目指した実用性検証で2台のバックホウによる掘削作業を1名のオペレータが遠隔操作

 東亜建設工業(東京都新宿区)は4月7日、砂撒船の海上作業における生産性向上を図るため、ARAV(東京都文京区)が開発した重機の遠隔操作・自動運転システムの実用性検証を行ったと発表した。以下、リリース原文。

■背景
 砂撒船は、港湾工事で利用される作業船の一種で、護岸基礎の築造や漁場として海域環境を改善するため海底に土砂を撒く作業を行っています。従来、砂撒船の土砂投入作業は2台のバックホウをそれぞれ複数のオペレータが交代しながら操作しています。また、海底に均一な厚さで土砂を撒くためには、掘削から投入までバックホウ同士が接触しないようお互いにタイミングを合わせる必要があり、作業時間と投入精度はオペレータの技能や経験に依存していました。

 さらに、少子高齢化に伴う担い手不足より、熟練オペレータが減少していることから、自動運転による省人化・効率化が望まれていました。

■システム概要
 ARAV株式会社が開発した遠隔操作・自動運転システムは、国内市場における約84%もの建設機械に対応が可能であり、ジョイスティックとフットレバーで操作するバックホウやキャリアダンプ、ステアリングとアクセル・ブレーキで操作するホイールローダー等、土木・建設現場で広く利用されている機体を対象としています。本システムは、各種センサーにより建設機械の状態や周囲の状況をリアルタイムに把握することができ、自動運転も可能です。当社は、国内で初めて砂撒船のバックホウに本システムを導入し、海上作業の生産性向上を目指しています。

■実証実験
 昨年末、当社の千葉県袖ケ浦市のヤードにて砂撒船の土砂投入作業を模擬した2台のバックホウに本システムを導入し、実用性を検証しました。検証では、2台のバックホウによる掘削作業を1名のオペレータが遠隔操作し、掘削後の旋回・投入作業を自動運転で行う一連の作業(掘削から投入)を適切に実行できるか確認しました。検証の結果、お互いのバックホウが接触することなく一連の作業を交互に行うことができ、オペレータによる直接操作と変わらないサイクルタイムで作業できることを確認しました。

■今後の展開
 今回の実用性検証において重機の遠隔操作・自動運転システムにより2台のバックホウを1名のオペレータが遠隔地から操作可能であり、オペレータの習熟度に関係なく効率的な運転が可能であることを確認しました。

 今後は、砂撒船のバックホウに本システムを導入するとともに、完全自動化を図るために掘削制御技術、障害物検知やトラブルを判断する技術、緊急時の対応などの課題について、実施工を通じて取り組むことで、より安全で効率的な作業環境の実現に向けて取り組んでまいります。

 ニュースリリース
 *リリース内容から「ですます調」で表記しています。