・高い環境性を有する独自開発の新型V型ストーカ炉2基を国内初導入
・処理能力600トン/日の「北清掃工場」老朽化に伴い建て替えを実施、完成・引渡しは2030年2月予定
・V型ストーカ炉の採用による環境負荷低減に加え、処理過程で発生する熱エネルギーを利用した高効率発電も実現
三菱重工グループの三菱重工環境・化学エンジニアリング(MHIEC、横浜市西区)は、4月7日、1998年から稼働している「北清掃工場」(東京都北区)の建替工事を東京二十三区清掃一部事務組合(本庁:東京都千代田区)から受注したと発表した。処理能力600トン/日の一般廃棄物焼却施設である同工場の老朽化に伴い建て替えを実施するもので、完成ならびに引渡しは2030年2月を予定している。
新施設は、処理能力300トン/日のストーカ式焼却炉(注1)2基および発電設備で構成され、このうちストーカ式焼却炉には、従来炉の乾燥・燃焼プロセスをさらに適正化した独自開発の「低熱灼減量(注2)対応V型ストーカ式廃棄物焼却炉(以下、V型ストーカ炉)」を国内で初めて導入する。また、処理過程で発生する熱エネルギーを利用した高効率発電を行うほか、余熱を近接する区立施設へ供給する。
今回導入するV型ストーカ炉は、乾燥・燃焼・後燃焼すべての工程でストーカ面が火炎中心方向を向くようストーカ構造と焼却炉の形状を最適化することで、輻射熱を効率的に受けながら廃棄物を焼却できる点が最大の特長で、性質や状態がまちまちの廃棄物を安定的に焼却・減容化し、焼却後の灰中の未燃分(焼け残った廃棄物)の割合を減らすことで環境負荷低減に寄与する。その高い環境性などが評価され、2022年7月には一般社団法人日本産業機械工業会が主催する「第48回優秀環境装置表彰」の最高位である「経済産業大臣賞」を受賞した(注3)。
今回の入札は、金額に加えて技術提案内容についても審査対象とする総合評価方式により実施された。選定に当たっては、地域の歴史を踏まえた外観デザインの採用などにより建物の圧迫感低減に努めた点や、多摩産木材の適所使用に伴うCO2固定化による環境負荷低減といった点、センシング技術や深層学習を用いた燃焼管理による自動燃焼制御の向上といった点などが評価された。既存施設の解体・撤去と新施設の建設を合わせた総受注額は約552億円(税抜)。
三菱重工の環境装置分野における技術開発力と豊富な廃棄物処理施設の建設・運営ノウハウを2008年に継承したMHIECは、建設から運営に至る総合的ソリューション提案力を強みとし、施設の新設のみならずアフターサービスや長期運営のニーズなどにも対応している。今後も、既存施設の省エネ化やAI、IoTを活用した遠隔監視・自動運転支援による焼却炉の高度化、L.C.C.(ライフサイクルコスト)低減に向けた提案を積極的に推進し、国内外での受注拡大につなげていく。
注1 ストーカ式焼却炉は、耐熱金属の角材を並べた床の上で、廃棄物などの焼却対象物を突き上げることで移動させながら燃焼させる炉で、一般廃棄物焼却炉の主流。
注2 熱灼減量とは、乾燥状態の焼却灰中に残る未燃分の重量比を表す値。
注 3 「第48回優秀環境装置表彰」におけるV型ストーカ炉の「経済産業大臣賞」受賞について、詳しくは以下のプレスリリース参照。
https://www.mhi.com/jp/news/220727.html
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