鹿児島県は3月24日、住友金属鉱山子会社の㈱サイコックス(東京都港区)と大口電子(鹿児島県伊佐市)が、2月17日に伊佐市と立地協定を締結したと発表した。
㈱サイコックスは、独創的なアイデアにもとづいた新たな半導体基板を実現するため、2012年6月に東京都で設立され、2017年より住友金属鉱山の子会社となっている。
同社が開発した貼り合せSiC(シリコンカーバイド)基板「SiCkrest®」(サイクレスト®)注は、低抵抗多結晶SiCの支持基板の上に高品質な単結晶SiCを薄く貼り合せることによって、単結晶の特性を維持しつつ、基板全体の低抵抗化と高強度化を実現し、現在では6インチ基板の製造・販売を実施している。
SiCの特徴として、従来のシリコンと比較して高電圧に対応可能で、エネルギー損失も大幅に低減できることから、電気自動車などの駆動制御装置で要求される大容量領域(大電流・高耐電圧)において、装置全体の小型化、航続距離向上も後押しできる優れた材料として、需要が拡大している。
一方、大口電子は、同じく住友金属鉱山株式会社の全額出資により1981年10月に設立され、1982年6月にIC完成品外装めっき事業によって操業を開始以来、住友金属鉱山からの事業移管により、様々な材料事業を手掛けてきた。
現在は、蓄積した技術力を基礎に、貴金属リサイクル事業、機能性インク事業、結晶材料事業を行っており、国内外の取引先から高い評価を受けている。
今回、サイコックスが増設する工場は、将来の需要が期待される8インチ基板の開発を進めるため、大口電子の建物内に、開発ラインの構築を開始するもので、開発業務の一部については大口電子が受託して実施する予定。
今回の増設により、地域における雇用維持・創出はもとより、地域経済の発展に寄与するものと期待される。
注)「SiCkrest®」(サイクレスト®)は,日本におけるサイコックスの登録商標
<㈱サイコックスの概要>
所在地:東京都港区新橋五丁目11番3号新橋住友ビル7F
設立:2012年6月
代表者:代表取締役社長 飯野 貴幸(いいの たかゆき)
資本金:1,000万円
従業員:53名(2022年2月1日現在)
業種:半導体基板製造
<大口電子㈱の概要>
所在地:鹿児島県伊佐市大口牛尾1755番地2
設立:1981年10月
代表者:代表取締役社長 菱木 薫(ひしき かおる)
資本金:10億円
売上高:約347億円(2021年度)
従業員:485名(2022年2月1日現在)
業種:貴金属回収リサイクル、機能性インク製造、結晶材料製造
<増設工場の概要>
工場名:サイコックス大口工場
所在地:鹿児島県伊佐市大口牛尾1742番地2
用地面積:4,900㎡(大口電子株式会社敷地内)
建物面積:6,300㎡
着工予定:2023年3月
完工予定:2024年3月
事業内容:8インチ貼り合せSiC基板の開発・製造