IHIグループの高嶋技研、リサイクル資源を高速選別する自動識別装置を販売開始

・人に材質情報を伝える新技術

 IHIのグループ会社である高嶋技研(福井県あわら市)は3月27日、リサイクル資源を選別する際に目視で材質を判別できない食品用透明トレー容器の手選別において、コンベア上を大量に流れる透明トレーに識別情報を与えて選別を容易にする技術を開発し、自動識別装置の販売を開始したと発表した。

 開発においては、食品トレー容器大手の㈱エフピコ(広島県福山市)に協力を得て、従来の機械選別に比べて最大約3倍のスピードで処理を行えることを実証した。

 近年、ビン、アルミ缶、PETボトルなどにおいては、資源を半永久的に使用できごみの量を減らす水平リサイクルの取り組みが進んでいる。高嶋技研では、独自開発のガラス瓶の自動色識別装置で納入実績があり、同分野で培ってきたセンシングと画像処理技術を活用することで、分別が難しい透明トレー選別の高速化に成功した。

 透明容器の水平リサイクルでは、精度の高い材質の分別が求められているが、多種な形状を持つ透明トレーの機械による分別は、現状では精度・処理量ともに低く、また透明トレーの整列・分別のため装置は大型化してしまうという問題があり自動化は進んでいないのが現状。一方、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、透明容器の家庭からの回収量は増加傾向にあるため、高精度で大量に分別する方法が求められていた。

 今回、高嶋技研が開発した新技術は、透明トレーのリサイクルにおいて、材質を自動で判定し、その材質情報を搬送ラインと同期して下流工程に色分により伝達し、選別担当者は、透明トレーの下方向から発光する色により材質を判断して瞬時に手選別することが可能になった。(特許出願中)。

 開発した装置は、ベルトコンベヤにディスプレイを内蔵し、コンベヤ上部に画像や文字情報を投影できるようにしている。材質判定機で得られた透明トレーの位置・形状・材質情報を元に、搬送される透明トレーの下部に材質に合わせた色を投影することで、周囲の環境に影響されず識別が容易になり、かつコンベヤ上の密度を高めることで、最大で機械の3倍のスピードで大量に処理できるようになった。また,従来の機械による自動選別装置に比べおよそ1/3のスペースで、人と機械が協働する半自動化を実現した。

 高嶋技研では、リサイクル資源の分別において、処理量増加への迅速な対応に貢献していく。

<高嶋技研株式会社>
代表取締役社長:松澤 郁夫
所在地:福井県あわら市伊井15-1-1
事業内容:飲料・食品・リサイクルメーカーをはじめ,プリント基板,鉄鋼・非鉄メーカーを取引先に持つ,高速移動や回転物体に対して,カラーラインセンサカメラや,赤外線、X線を利用した各種自動検査装置の開発・製造をメインとした技術開発型の企業。

 詳細は、ニュースリリース