三菱重工グループ、台湾の廃棄物焼却処理施設向けに蒸気タービン発電設備を更新・出力向上

・三菱重工パワーインダストリーが改造工事を受注

・仁武清掃工場のO&M契約更新を機に、達和環保服務股份有限公司が廃棄物発電の効率改善狙う

・既設設備を最大限活用した最適化設計で発電出力を大幅向上、廃棄物由来の熱の効率利用で台湾の脱炭素に貢献

 三菱重工グループの三菱重工パワーインダストリー(横浜市中区)は3月17日、台湾の高雄市にある廃棄物焼却処理施設の仁武清掃工場向けに蒸気タービン発電設備の出力を高める改造工事を受注したと発表した。同施設の運転保守管理(O&M)を手掛ける廃棄物処理事業者大手の達和環保服務股份有限公司(達和、本社:台北市)と契約を締結したもの。

 仁武清掃工場は、高雄市中心街北東の仁武区に位置している。同市環境保全当局から民間事業者にO&M が移管されてから21年間の契約が終了し、今回の契約更新により次の15年間にわたるO&M受託運営を達和が担うにあたって、基幹改良工事が実施されることになったもの。改造工事の完成および運転開始は、2024年半ばを予定している。

 今回受注した改造工事は、1998年に三菱重工が納入した蒸気タービン発電設備が対象。既設設備を最大限活用し効率改善に必要となる更新部分を厳選して工事範囲を最小化するとともに、新設時と現在の運転条件の変化も踏まえてタービン車室や内部機器の設計を最適化することで発電出力の大幅向上を実現するもの。三菱重工パワーインダストリーの高度なエンジニアリング提案とともに、20年以上にわたり安定稼働してきた実績と信頼性が総合的に高く評価された。

 達和は、1992年にフランスの総合環境サービス企業大手であるVeolia社と台湾セメントによる合弁により設立。台湾における廃棄物処理施設の民営化が進んだ状況を追い風に、O&M事業を台湾の各地で展開している。今回の基幹改良工事は、廃棄物焼却で発生する熱のさらなる有効活用を追求することでO&Mのコストパフォーマンス向上を図るとともに、台湾が政策的に進める省エネルギーとCO2排出量削減への貢献を目指すもの。

 台湾では廃棄物焼却に限らず、日本同様に多くの中小型産業用火力設備(ボイラー・タービン)が稼働しており、それらの脱炭素化は産業界の大きな課題となっている。三菱重工パワーインダストリーは三菱重工グループの一員として、技術力で産業界のエネルギー安定供給を支えながら、カーボンニュートラル社会の実現に向けた省エネ・脱炭素化で社会に貢献していく。

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