三菱重工のMHIET 、2,000kW高効率&コンパクト、ガスエンジンコージェネレーションシステムを販売開始

・世界トップクラスの発電効率44.3%を実現、分散型エネルギーリソースの価値向上とCO2低減に貢献

・パッケージサイズのコンパクト化により設置性も向上、4月1日から本格販売開始

 三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET、相模原市中央区)は3月16日、高い発電効率とパッケージサイズのコンパクト化を実現した発電出力2,000kWガスコージェネレーションシステム「SGP M2000」を新たに開発したと発表した。2,000kW級では世界最高水準の発電効率44.3%を誇る16気筒新型ガスエンジン「G16NB」をコージェネレーションシステム(注1)としたもので、国内市場向けに4月1日から本格販売を開始する。

 SGP M2000は、従来のMHIET製1,000kWガスコージェネレーションシステムと比べて発電効率が1.8ポイント向上したことで、発電に伴う排出CO2を低減できる。また、同一排気量でありながら出力向上を実現したほか、設置面積を約40%低減し、従来は大型設備の導入が難しかった都市部のビルなど、限られたスペースへの導入も可能とした。これまで、MHIET相模原工場の自家発電施設など複数箇所で合計5万時間超の運転を実施済みで、年間を通じた高いパフォーマンスと十分な信頼性を確認した。

 G16NBは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム(注2)」の助成を受け、MHIET(当時、三菱重工)が開発したもの。新型高強度ピストン採用によるシリンダー内最高圧力の増大、二段過給システム採用による高ミラーサイクル化、新開発コントローラーによる気筒ごとの点火時期最適制御といった新技術を適用することで、2,000kW級ガスエンジンでは世界最高水準となる発電効率を達成している。

 省エネルギーによる環境負荷低減効果が期待できるコージェネレーションシステムは、カーボンニュートラル実現に向け一層推進するべき分散型エネルギーリソース(DER:Distributed Energy Resources)の1つとされている。再生可能エネルギーの普及などに伴う電源の多様化に対し、高い起動性を有する同システムは電力網の調整力などに貢献する。また、大規模災害などによる停電時に対応可能であることから、レジリエンス(注3)の強化という点でも市場ニーズが高まることが想定される。

 MHIETは、SGP M2000の普及を通じてDERの価値向上に貢献するとともに、適用した新技術を活用したガスエンジンにおける水素利用技術の開発などにも積極的に取り組み、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。

注1 2つのエネルギーを同時に生産し供給するシステムのことで、具体的には発電装置を使って電気をつくる際に排出される熱を回収し、給湯や暖房などに利用する仕組みを指します。「コージェネシステム」または「熱電併給システム」とも呼ばれる。

注2 NEDOプロジェクト「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」における出力2,000kW級の高効率ガスエンジン開発について、詳しくは以下URLを参照。
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100299.html

注3 強靭性、回復力、弾力性などを意味し、具体的には災害に強いインフラの整備、早期復旧のための事業者との連携強化、情報発信の強化などといった取り組みを指す。

 詳細は、ニュースリリース