EARTHBRAINと伊藤忠テクノソリューションズ、国土交通省の港湾整備工事に3Dモデルを用いた情報共有クラウドを提供

・公共事業の調査、施工、検査に関する情報共有や、遠隔での監督業務を実現

 ㈱EARTHBRAIN(東京都港区)と伊藤忠テクノソリューションズ(東京都港区、略称:CTC)は3月7日 、3Dモデルを用いた情報共有クラウド(以下:港湾整備BIM/CIMクラウド)※を、国土交通省関東地方整備局が推進する「横浜港新本牧ふ頭整備事業」に提供したと発表した。

 国土交通省は、ICTを活用して、建設及び建築分野での生産性向上を図る取り組み「i-Construction(アイ・コンストラクション)」を進めており、関東地方整備局は、その取り組みを推進する一環として、BIM/CIM、ICTを活用した施工管理を試行し、港湾整備BIM/CIMクラウドを構築している。

 今回、両社が同事業向けに提供した港湾整備BIM/CIMクラウドは、複数の受注者が工事区分を分担して同時に施工する際に、3Dモデルを用いて工事の進捗管理や検査などの監督業務を統合的かつ効率的に行うことを可能とする仕組み。

 EARTHBRAINが提供する建設業向けIoTプラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」と、CTCの3Dモデル情報共有プラットフォーム「ILSIM(アイエルシム)」を連携させたソリューションで、建設分野での調査、設計、施工に関するデータを統合して、3Dモデルで可視化するもの。 異なるツールで測量、設計した3Dデータでも、ファイル形式を標準化して取り込み統合できるため、工事の設計や進捗確認の効率化・高度化に役立つ。 また、施工段階で発生する検査記録や進捗の履歴、構造物の諸元などの属性情報を3Dモデルに紐づけて蓄積することで、複数の事業者が関わる公共事業でのスムーズな情報共有を可能にする。

 両社は同事業向けに、港湾整備BIM/CIMクラウドのプロトタイプを2020年に構築し、設計、施工におけるデジタル化への試験運用を進めてきた。現在も、工事の進捗に応じた機能拡張を進め、施工、検査の監督業務で活用されている。

 EARTHBRAINが展開するLANDLOGは、建設生産プロセスに関わる地形、建設機械、資材、車両などのIoTデータを収集し、3Dモデルを作成して一元的に管理するオープンなIoTプラットフォームであり、収集したデータを建設業界向けのアプリケーションを開発する企業に提供している。

 CTCのILSIMは、施工前の測量や設計から、施工、施工後の維持管理まで含めた一連の建設プロセスで生じる様々な情報を可視化して共有する情報プラットフォーム。

 港湾整備BIM/CIMクラウドでは、LANDLOGとILSIMをAPI(Application Programming Interface)で連携し、3Dモデルの属性情報の付与や更新、関係者間での共有を可能にしている。

 両社はそれぞれの強みを活かし、建設分野でのアプリケーション開発やシミュレーション解析を含めた長年の実績をもとに、LANDLOGとILSIMの連携、3Dデータの標準化ツールや、データの相互参照を行うインターフェースの開発を行った。データ登録からクラウド上でのデータの共有化までのワークフローを設計し、情報共有クラウドの実装を実現した。

 今後EARTHBRAINとCTCは、分析の自動化や予防保全のための予測分析などの機能拡充も視野に入れ、同事業における港湾整備BIM/CIMクラウドの適用範囲の拡大を通して、i-Constructionの普及に貢献していく。

※ BIM/CIM:それぞれ、Building Information Modeling/Management、Construction Information Modeling/Managementの略称。土木、建築業における計画、調査、設計段階から3Dモデルを導入することにより、その後の施工、維持管理の各段階においても3Dモデルを連携・発展させて、事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ること。

■ EARTHBRAINについて
 ㈱EARTHBRAINは、建設現場のデジタルトランスフォーメーションを実現する「Smart Construction」を提供し、建設業界の安全性、生産性、環境性の飛躍的な向上を実現することをめざしており、コマツ、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ、ソニーセミコンダクタソリューションズ、㈱野村総合研究所の4社が出資している。

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