・高品質な部材の安定供給、材工一貫体制の確立でFITP事業を加速
住友林業は2月10日、米ノースカロライナ州(以下NC州)で現地子会社を通じて住宅構造用部材の製造工場を設立すると発表した。
新工場は戸建・集合住宅の壁パネルや屋根・床トラスを製造し、将来的には窓やドアをはじめとした建材の販売なども手掛け、NC州で高品質な部材の安定供給を目指す。稼働開始は2024年、総投資額は約34.4億円※1を見込んでいる。
住友林業は米国でパネル設計、製造、配送、施工までを一貫して提供するFully Integrated Turn key Provider(以下FITP)事業を推進しており、新工場の設立でFITP事業のさらなる拡大を図る。
■立地の特性
NC州は安定した経済成長を背景とした全米3位の住宅市場※2。新工場は同州の住宅着工許可件数の約6割を占めるラリー都市圏とシャーロット都市圏の中間に位置し、高速道路沿いという立地の優位性を活かして両都市圏に資材を供給する。
NC州では住友林業グループのDRB Group(President, CEO: Ronald Salameh、本社:メリーランド州ロックビル)が戸建分譲住宅事業、Crescent Communities, LLC(Chairman, CEO: Brian Natwick、本社:ノースカロライナ州シャーロット)が不動産開発事業を展開している。両社への資材供給に加え、将来は外部ビルダーへも販売し、本工場の規模拡大を目指す。
NC州政府等からは工場設立に伴う投資や雇用創出の観点で期待が寄せられており、行政の補助金を活用しつつ雇用創出など地域社会への貢献も目指す。
■FITP事業に取り組む意義とこれまでの取り組み
新工場では2030年までに年間2,800戸分の住宅構造用部材を生産する計画。住友林業グループは2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」で事業方針の1つに「グローバル展開の進化」を掲げ、米国の年間住宅供給戸数23,000戸を目指している。長期ビジョン実現に向け、本工場の設立を通じ米国東海岸南部で安定した資材調達・供給網を構築する。
現在、米建設業界では労働力不足やサプライチェーンの混乱による資材不足が深刻で労務費や資材価格の高騰、工期長期化等が課題となっている。住友林業は昨年9月、FITP事業を統括・推進する100%子会社Builder Solutions Group, LLC(社長:藤田 怜、本社:テキサス州アディソン、以下BSG)を設立。すでに内製化しているフレーミングや内外装工事等の施工機能、トラスやパネル等の製造機能に加え、今回設立する工場の運営もBSG社が統括する。米国で戸建分譲住宅事業を展開する住友林業グループ各社との連携で、施工合理化による工期短縮、経費削減、品質向上等を目指している。
■今後の取り組み・方針
住宅構造用部材と住友林業グループのフレーミングや内外装工事等の施工機能をあわせて販売し、材工一貫でサービスを提供する。住友林業グループが米国内外に持つ木材・建材の仕入れ・流通機能を活用し、住宅構造用部材のサプライチェーン強化、価格競争力向上を目指す。さらに工場、施工会社、住宅ビルダー各社のシステム連携を進め、FITP事業全体の効率化も図る。
新工場の運営には昨年9月に買収したトラス・パネル等の製造を手掛けるStructuralグループ※3の事業運営ノウハウを活用する。住友林業グループとして工場立ち上げのノウハウも蓄積し将来は他州でのFITP事業の展開も目指す。
米国東海岸南部でのFITP事業の早期確立により住宅・建築・不動産事業を拡大するほか、木材建材事業でも新規流通網の開拓と拡大、新規事業の創出を図り、当社グループの収益拡大・収益源の多様化を促進する。
住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅をはじめとした木造建築請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開している。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、自社のみならず社会全体への脱炭素に貢献することを目指している。長期ビジョンで事業方針の1つに掲げた「グローバル展開の進化」を推進し、米国でも脱炭素化への取り組みを加速させる。
※1. 1USD=132.35円(2023年2月6日の為替レートで計算)
※2. 米国商務省センサス局発表の2021年戸建住宅着工許可件数に基づく
※3. 関連リリース:https://sfc.jp/information/news/pdf/2022-09-30.pdf
<工場概要>
所在地:ノースカロライナ州アーチデール
敷地面積:60.91エーカー (約246,500㎡)
生産規模:2,800戸(2030年)
着工:2022年12月
竣工(予定):2023年12月
生産開始(予定):2024年第1四半期
<Builder Solutions Group, LLC概要>
本 社:テキサス州アディソン
代表者:藤田 怜
沿 革:2022年9月設立
出資関係:住友林業の100%子会社アメリカ住友林業を通じて出資
事業概要:FITP事業の統括および推進
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