DMG森精機、22年12月期売上は19.9%増 の4,748億円、23年予想は5.3%増 の5,000億円

 DMG森精機が2月8日に発表した2022年12月期(2022年1~12月)連結業績によると、売上収益は4,748億円(前期比19.9%増)、営業利益は412億円(78.7 %増)、 税引前当期利益は365億円(86.3%増)、 親会社の所有者に帰属する当期利益は254億円(88.7%増)となった。

■ 受注状況

 2022年の連結受注額は5,424億円(前期比19%増)と過去最高となった。5軸加工機、複合加工機 などの工程集約機を中心に自動化、フルターンキー化、DX(デジタルトランスフォーメーション)化、GX(グリー ントランスフォーメーション)化の需要が増加した。顧客への付加価値提案力が向上したことにより、2022 年度の機械1台当たりの受注単価が49.8百万円(2021年度平均:39.4百万円)へと大きく上昇したことも受注額の 増加に寄与した。

 連結受注の約20%を占めるサービス・補修部品の受注額も前年同期比19%増となった。また、半導体製造装置向けの超精密計測部品を製造・販売するグループ会社の㈱マグネスケールを始めとする グループ会社の受注額も堅調に推移した。

■ 地域別受注状況

 地域別受注額は、日本(構成比14%)が前年度比 17%増、米州(同20%)が同17%増、欧州(同50%)が 同20%増、中国(同10%)が同15%増、アジア他(同6%)が同33%増と、それぞれ伸長した。米州及び中国の 受注額は過去最高となった。また、欧州、アジアの受注額はほぼ過去のピークと同水準となった。

■産業別受注状況

 産業別 には、宇宙、航空、医療、EV(電気自動車)関連、温暖化ガス排出量削減のための新エネルギー関連など、新たな 市場分野の拡大が寄与した。

 第3四半期(7-9月)以降、工作機械需要は調整局面に入っている。各国、各産業からの引合い件数は高 い水準を維持しているが、顧客において設備投資の意思決定までのリードタイムが長期化している。それを踏まえ、2023年度の連結受注見通しを2022年度比8%減の5,000億円程度と見込んでいる。

■ 受注残高

 一方、 受注残高 は、2021年末の1,640億円から、2022年12月末には2,540億円まで増加した。この受注残高は2023年第3四半期までの生産、販売を充足しており、需要が堅調なサービス・補修部品及びグループ会社と合わせて収益安定に寄与 する見込み。

■2022年度の取り組み

 経営理念にも掲げているとおり、工作機械・独自領域・内製コンポーネント・周辺機器などのハードウエア及び ソフトウエアと、加工システムの構築・高効率な加工プロセスの提案・保守保全・ファイナンスなどのサービスを 組み合わせた最善の加工オートメーションを提供し、顧客の生産性向上に貢献することを、同社は目指している。これまでの工程集約・自動化・DX・GXの取組みをより一層加速させ、顧客の加工ニーズへのソリューショ ンを一気通貫で提供できる企業としての基盤を強化するため、2022年12月に、2023年~2025年を期間とする「中期 経営計画2025」を策定した。顧客により高い付加価値を提供するため、事業モデル及び経営基盤の進化 に取り組んでいく。

 経営基盤強化の一環として、同社は生産・開発体制の強化に取り組んでいる。2022年度は、伊賀事業所及び奈良事業所における生産体制の再編、奈良商品開発センタ(奈良PDC)の開所を行った他、ドイツ・フロンテン工場に最新鋭の自動化・デジタル化技術を用いた物流センタを新設した。また、2023年度には、中国・上海 近郊の平湖において5軸加工機専用工場の操業開始を予定している。

 技術面では、複雑形状部品加工の工程集約が可能な複合加工機「NZ-Platform」の販売を開始している。顧客のニーズに合わせた多様な機械構成が可能であり、高生産性に貢献する。その他、高剛性と高精度を兼ね備えた大型横形マシニングセンタ「NHX 10000 µPrecision」を開発いたしました。同社では2021年から、部品調達か ら商品出荷までの工程においてカーボンニュートラルを達成しており、これらの製品もカーボンニュートラルな体制で生産が行われる。今後も、より多くのこきニーズに応えられるよう、高機能で信頼性が高く、投資価値のある商品を市場へ投入していく。

 また、顧客専用のポータルサイト「my DMG MORI」においては、2022年10月より新サービス「パーツセレクタ ー」及び「チャットボット」の提供を開始している。その他、11月にはオンライン学習コンテンツのデジタル アカデミーにおいて「複合加工機ベーシック」ならびに「AMエントリー」をリリースした。今後も新たな コースの追加を行っていく他、教育機関への普及を進めていくことで、製造業の人材育成に貢献していく。さらに、オフラインでプライベートレッスンが可能な場所として、日本全国各所にDMG MORI Academyの研修施設新設を予定している。

 販売面では、デジタルツインショールームのアップデートを実施し、新規展示及び新機能を追加しております。また、当年度は、日本で開催された「Robot Technology Japan 2022」「JIMTOF2022」、ドイツで開催された「AMB 2022」等リアルの展示会に出展した他、東京GHQやドイツ・フロンテン工場等、DMG森精機事業所においてオープンハウ スを開催した。小規模商談会「テクノロジーフライデー」も引き続きグローバルに開催している。今 後もデジタルとリアルの両方で顧客とつながり、顧客ニーズに沿った提案を行っていく。

 また、DMG森精機では「よく遊び、よく学び、よく働く」を経営理念に掲げ、従業員の働き方改革と生産性向上、従業 員それぞれが活躍しサステナブルな生活を送ることができる環境整備に取り組んでいる。有給休暇の完全取得 や男性社員の育児休業取得を積極的に奨励している他、日本においては、2022年7月に従業員の給与改定を実施した。また、2023年4月からは新卒初任給の引上げを行う。高度な人材を確保することで、激動する外部環境に適切に対応できる企業として成長を続けていく。

 さらに、DMG森精機は持続可能な社会を目指し、人と自然が共生できる社会、資源循環型の社会に向けた取組みを行っている。国内すべての拠点でCO₂フリーの電力を使用するなどカーボンニュートラルに向けてはグループ一丸となって取り組んでおり、2023年からは、グループ最大の生産拠点である伊賀事業所において太陽光発電を開始する予定。その他、2030年に向けた温室効果ガス削減目標についてはSBT(Science Based Targets)認定を取得 している。また、自社での活動のみではなく、環境に配慮した商品の提供を通じて、顧客におけるGX化も促 進している。今後も持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでいく。

■次期の見通し

 DMG森精機グループでは、開発・製造・販売・修理復旧の各分野での活動を通じ、さらなる企業価値の向上に努めていく。

 2023年12月期の業績(連結)の見通しは、売上収益5,000億円(前期比5.3%増)、営業利益500億円(同21.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益320億円(同26.0%増)。

 想定レートについては、米ドルレート130.0円、ユーロレート140.0円。

 DMG森精機の2022年12月期決算短信

 決算ニュースリリース

 決算説明資料