ステラケミファ、泉工場(大阪府)で濃縮ホウ酸/フッ化スズ生産設備整備・増強を実施

 ステラケミファ(大阪市中央区)は2月7日 、第3次中期経営計画(2023 年3月期~2025 年3月期)において、その他分野での重点課題として取り組んでいる濃縮ホウ酸およびフッ化スズの販売拡大に向け、生産設備・能力の整備・ 増強を実施すると発表した。

■濃縮ホウ素・濃縮ホウ酸生産設備を整備
 自然界には「ボロン 10」と「ボロン 11」の2種類のホウ素同位体が存在し、「ボロン 10」は約20%しか存在しない。「ボロン 10」は、中性子の吸収能力が極めて高いという性質があり、その濃度を高めることで、中性子吸収能力の最大値を数倍まで高めることができる。ステラケミファは、この「ボ ロン 10」を 99%以上まで濃縮し大量生産する技術を 2000 年に日本で初めて確立し、国内で唯一の 濃縮プラントを構え、製造販売している。

 濃縮ホウ酸は、天然ホウ酸が使用されている加圧水型原子力発電所の1次冷却水等に添加され、 中性子吸収用途として使用されている。濃縮ホウ酸を使用することにより、天然ホウ酸に比べ、 1次冷却水への添加量を抑制しつつ、中性子吸収能力の向上を図ることが可能となる。

 また1次冷却水の加温等も不要となることが想定されるため、設備の負荷軽減による安全性の向 上や利便性の向上、維持管理コストの低減も期待されている。

 これらは原子力発電所の安全運転に大きく貢献できるものと考えている。

 今後の、国内外における原子力発電所の新設や再稼働において、更なる濃縮ホウ酸の需要拡大が見込まれるため、同社は安定供給を目的に既存の生産設備の整備および改良を行い、より効率的に生産を行える体制を整えることにした。

<計画概要>
設備の場所:大阪府泉大津市臨海町1丁目 41 番地 ステラケミファ株式会社 泉工場
投資金額 :約 11 億円
時 期:2024 年3月完了(予定)
生産能力:濃縮ホウ酸 36t/年

■フッ化スズ生産能力を増強
 ステラケミファが製造販売しているフッ化スズは、顧客要求に基づき 2017 年に米国 FDA による GMP 査察を 完了し、2018 年より GMP 対応製品として販売を開始している。
 同製品はフッ化スズ配合オーラルケア製品に幅広く使用されており、虫歯予防と抑制・抗菌作 用・知覚過敏の抑制 等の効果が期待されている。
 フッ化スズ配合オーラルケア製品は、主に欧米での需要が多く、販売開始後の需要は堅調に推移しており、今後更なる市場の拡大が見込まれる。
 また近年では、オーラルケア用途以外の新たな用途開発も進んでいる。ステラケミファでは、顧客からの需要に応えるとともに、安定供給体制を強固なものとするべく、フッ化スズの生産能力を増強することを決定した。

<計画概要・効果>
設備の場所:大阪府泉大津市臨海町 1 丁目 41 番地 ステラケミファ株式会社 泉工場
効果:設備の増強により、フッ化スズの生産能力が 2 倍になることから、拡大する顧客からの需要に対して安定的に製品を供給することが可能となる。

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