ヤマシンフィルタが2月6日に発表した2023年3月期第3四半期累計(2022年4〜12月)連結業績によると、売上高は141億18百万円(前年同期比0.5%減)となり、営業利益は10億67百万円(同4.1%減)、経常利益は8億39百万円(同22.2%減)、親会社株主に帰属す る四半期純利益は5億48百万円(前年同期は▲88 百万円)となった。
■第3四半期連結累計期間の概況
2022年4~12月期における世界経済は、社会活動や経済活動の再開により緩やかな回復がみられたものの、インフレ率の高止まり、中国における経済活動の停滞、欧州での地政学 リスクの長期化を背景としたエネルギー・原材料価格の高騰が継続しており、依然として先行き不透明な状況が継続している。
このような環境の中、ヤマシンフィルタグループの主力事業である建機用フィルタ事業においては、北米市場では、住宅着工件数は引き続き減少傾向にあり、インフレ抑制を目的とした金融引き締めによる景気後退リスクが高まりをみせるなか、需要は底堅く推移した。日本、欧州、アジアといった主要地域においても、需要は前年度からは減少傾向にあるものの、建機の稼働時間と新車需要は堅調に推移した。一方、中国市場におけるロックダウンの影響等により、売上高は減少した。また、利益面では、価格転嫁の 実施により収益性は回復傾向にあるが、アルミや鋼材等の主要原材料価格や海上輸送費の高止まりの継続や、 円安の影響により減益となった。
ヤマシンフィルタグループは、引き続き、環境負荷低減に貢献するロングライフのフィルタ製品やタンク内の気泡を除去する エアレーション技術、フィルタの汚染度や交換頻度を感知するセンサ技術を搭載した高付加価値フィルタ製品の主要得意先への提案を進めており、各建機メーカの新機種への製品供給が順次開始されている。
また、主要市場である北米市場においては、世界最大手建機メーカーに対する同社の燃料用、トランスミッション 用フィルタ等の新規提案・採用が進展している。一方、減益要因となっている物流コストや原材料価格の高騰、 為替変動に対しては、価格転嫁を実行するとともに、原価改善プロジェクトPAC22の推進、サプライチェーンの見直 しや生産地移管によるグローバル生産供給体制の構築により、原材料調達の安定化と物流コストの低減を図り、外部環境変化やリスクへの適応力の強化を図ることにより、資本効率の更なる改善と収益性の拡大に努めていく。
エアフィルタ事業においては、主要製品である、ビル空調用フィルタの交換需要は回復傾向にあり、売上高は増加した。利益面では、原材料価格の高騰に対する価格転嫁の実施、及び生産効率の改善並びに経費削減等の効果により、増益となった。また、新たにロングライフ、低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィル タ(製品名:NanoWHELP)の、オフィスビルや病院、工場、鉄道車両等への採用が進展している。また、昨今のカーボンニュートラルという大きな流れの中で企業に求められる温室効果ガスの削減のための有用な手段の一つと して、同社製品であるNanoWHELPはその素材の特性により他社製エアフィルタに比し、年間で約30%近いCO2の削減効果と同時に光熱費も大きく低減できる製品であることから、ビル用空調システム市場を中心に今後大きく成長す ることが見込まれる。更に、同社グループは国内では唯一、エアフィルタ性能規格として最も権威のあるアメリ カ暖房冷凍空調機学会(ASHRAE)の定めるエアフィルタの性能等級であるMERV(16の等級に区分され最高性能等級 は16)では同社のNanoWHELPはMERV14・15・16の3つの等級を取得しているフィルタメーカーであり、この高い競争力と信頼性を活かし、今後、欧米市場をはじめとした、海外市場の開拓にも積極的に取り組んでいく。
■ 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
①建機用フィルタ事業
前回通期の業績見通しを公表した2022年11月4日時点と比較し、第3四半期においては、主要得意先の生産活動や建機の稼働時間は堅調に推移し、中国を除く日本、米国、欧州、アジアといった主要市場における、同社の売上高は堅調に推移した。しかし、中国市場における主要得意先の生産計画の一部見直 しを背景に、第4四半期の需要は減少傾向にあり、売上高は前回公表値を下回る見通し。
一方、利益面では、業績に大きな影響を及ぼしている鋼材及びアルミ材を中心とした主要原材料価格については足許では調整局面を見せているが、依然として高止まりが継続している。
このような環境変化に対応するため、原価低減活動の継続に加え、価格転嫁を実行しており、利益面では着実に改善が見込まれるものの、第4四半期に想定される売上高の減少や、第3四半期に生じた急激な円高に伴う為替差損の影響等により、前回公表値を下回る見通しであることから、通期業績予想を修正した。
②エアフィルタ事業
主要製品である、ビル空調用フィルタの交換需要は回復傾向にあり、価格転嫁の実施や、生産効率の向上、経費削減効果により、増益が見込まれるものの、通期では前回公表値をわずかに下回る見通しであることから 通期業績予想を修正した。
修正した 2023年3月期の通期連結業績予想は下記のとおり。
売上高186億50百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益13億25百万円(同1.4%減)、経常利益10億30百万円(同21.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益7億12百万円(ー)。
なお、2023年3月期の想定為替レートについては、米ドル130円、ユーロ140円に変更した。
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