旭化成メディカル(東京都千代田区)は2月2日、子会社であるバイオ医薬品※1CDMO※2のBionova Scientific, LLC(バイオノバ サイエンティフィック、本社:米国カリフォルニア州フリーモント市、以下Bionova社)において、製造プロセス開発およびGMP製造※3能力を増強する決定したと発表した。
■背景
旭化成グループは、『中期経営計画2024 ~Be a Trailblazer~』において、バイオプロセス事業※4を、次なる成長を牽引する事業である10のGrowth Gears(GG10)の1つに位置付けている。バイオ医薬品市場の拡大を背景に、ウイルス除去フィルター「プラノバ™」等の既存事業を拡大させるほか、これまで築いた顧客基盤やブランドを強みに2019年からCRO事業※5へ、2022年からはCDMO事業へと参入し、さらなる成長機会の獲得を目指している。
■ 能力増強の目的
Bionova社は、製薬企業に対して製造プロセス開発受託、製造受託サービスを提供するバイオ医薬品のCDMO。同社が強みとする製造が難しい複雑な次世代抗体医薬品※6のプロセス開発は、顧客から高く評価されており、抗体医薬品の製造プロセス開発およびGMP製造の依頼は増え続けている。こうした顧客要求に対応するため、今回プロセス開発およびGMP製造能力を増強することを決定した。これによりGMP製造能力は約4倍になる。
同社は今後も、革新的かつ信頼性に優れた製品・サービスを提供し、生物学的製剤の安全性と安定供給に貢献するとともに、旭化成グループのヘルスケア領域のさらなる成長を目指していく。
<用語解説>
※1 バイオ医薬品:遺伝子工学、細胞培養などのバイオテクノロジーを利用して生産されるタンパク質等を有効成分とする医薬品。
※2 CDMO:Contract Development and Manufacturing Organizationの略。製薬会社に代わり、バイオ医薬品の製造プロセスの開発や製造そのものを受託する。
※3 GMP製造:GMPとはGood Manufacturing Practiceの略であり、医薬品製造業者が遵守すべき製造に関連する諸基準を定めたもの。GMPの厳格な基準に準拠して医薬品の製造をすることをGMP製造と呼ぶ。
※4 バイオプロセス事業:生物学的製剤の製造プロセス(バイオプロセス)で使用される分離膜、装置、およびそれらを組み合わせたシステムを取り扱う事業。
※5 CRO事業:医薬品の開発受託サービス(Contract Research Organization)事業。当社では特に生物学的製剤の安全性評価領域の事業として、2019年にViruSure社(本社:オーストリア)、2021年にBionique Testing Laboratories社(本社:米国)を買収し、同事業に参入している。
※6 次世代抗体医薬品:通常の抗体医薬品とは異なるタイプの抗体医薬品で、抗体薬物複合体(ADC)や二重特異性抗体に代表される。