コマツ、22年4~12月期売上は26%増の2兆5,392億円、通期予想は3兆4,600億円で変更せず

 コマツが1月31日に発表した2023年3月期の第3四半期連結累計期間(2022年4月~12月)において、連結売上高は2兆5,392億円(前年同期比26.0%増加)となった。建設機械・車両部門では、北米、アジアを中心に鉱山機械の需要が好調に推移した。クロスソーシングの活用などにより新車需要を着実に取り込み、部品・サービス売上げも増加した。また、各地域での販売価格の改善や円安の影響もあり、売上高は前年同期を上回った。産業機械他部門では、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業は、世界的な半導体需要の増加により売上げが好調に推移したものの、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械については、主に大型プレスの売上げが減少したこともあり、売上高は前年同期を下回った。

 利益については、資材価格や物流コスト上昇の影響はあるものの、販売価格の改善や円安の影響により、営業利益は3,466億円(前年同期比54.9%増加)となった。売上高営業利益率は前年同期を2.5ポイント上回る13.6%、税引前四半期純利益は3,398億円(前年同期比51.5%増加)、株主に帰属する四半期純利益は2,319億円(前年同期比49.1%増加)となった。

 中期経営計画においてESGの経営目標として掲げている「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ ワールドインデックス」に選定された。また、国際的な非営利団体CDPにより、「気候変動対策」及び「水セキュリティ対策」においてAリスト企業と認定された。

 コマツは、次の100年に向けて新たな価値創造を目指し、昨年4月より2025年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value - Together, to “The Next” for sustainablegrowth」をスタートした。①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築を成長戦略の3本柱として掲げ、収益向上とESG課題解決の好循環による持続的成長を目指すサステナビリティ経営を引き続き重視し、需要変動に左右されにくい事業構造の構築に向け、活動を進めている。

 コマツ2023年3月期第3四半期データ

■部門別の概況

[建設機械・車両]

 建設機械・車両部門の売上高は2兆3,696億円(前年同期比28.4%増加)、セグメント利益は3,095億円(前年同期比61.3%増加)となった。

 中期経営計画の成長戦略「イノベーションによる成長の加速」においては、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)の導入を着実に進め、昨年12月末時点の総稼働台数は累計600台となった。鉱山機械のカーボンニュートラルに向けた取り組みでは、いかなる動力源でも稼働可能なパワーアグノスティックトラックの開発に向け、小山工場における燃料電池のテストベンチなどの水素試験設備導入や、北米の試験場にはバッテリー・トロリー車の実証実験用設備の設置を進めました。一般建機については、電動化市場の早期形成を目指し、20トンクラスの電動油圧ショベルの量産開始に向けて取り組みました。昨年12月には、コマツ初のリチウムイオンバッテリー搭載の量産車である電動式フォークリフト「FE25G/30G-2」を発売した。

 「稼ぐ力の最大化」では、坑内掘りハードロック事業の拡大を目指し、狭い坑道に適したロードホールダンプやダンプトラックなどのラインナップ強化を図るため、ドイツの坑内掘り鉱山機械メーカーであるGHH Group GmbHの買収を決定した。また、アフリカ市場への取り組み強化の一環として、フランス資源企業と、アフリカの対象地域における鉱山オペレーションの安全性・生産性の最大化を支援する包括契約を締結した。

 「レジリエントな企業体質の構築」では、外部環境の変動に強いサプライチェーンの構築を図り、昨年に完全子会社化した中国生産法人を建設機械のグローバル生産拠点として活用を進め、クロスソーシングの強化に取り組みました。

■地域別の概況

<日本>

 日本では、公共工事及び民間工事向けの新車需要が減少したものの、販売価格の改善などにより、売上高は前年同期を上回った。

<米州>

 北米では、一般建機の需要はレンタル、インフラ向けが好調に推移し、エネルギー関連向けも引き続き増加した。加えて、鉱山機械の需要が好調に推移したことや、販売価格の改善及び円安の影響もあり、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 中南米では、一般建機の需要は当第3四半期から減速が見られたものの、鉱山機械の需要は前年同期並みに推移した。部品・サービスの売上げ増加や、販売価格の改善及び円安の影響により、売上高は前年同期を大幅に上回った。

<欧州・CIS>

 欧州では、エネルギー価格高騰などの影響はあるものの、物流の混乱は改善に向かい、主要市場であるドイツ、英国、フランスを中心に、需要が前年同期並みに推移した。販売価格の改善などにより、売上高は前年同期を上回った。

 CISでは、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーン及び金融・経済の制約の影響から、売上高は前年同期を大幅に下回った。

<中国>

 中国では、経済活動の停滞や新型コロナウイルス感染症に対する政策の混乱などの影響により需要が低迷したことから、売上高は前年同期を下回った。

<アジア・オセアニア>

 アジアでは、インドネシアにおける石炭向け鉱山機械の需要が好調だったことに加え、フィリピン、マレーシア、ベトナムを中心に一般建機の需要が堅調だったことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 オセアニアでは、鉱山機械及び一般建機の需要が堅調に推移した。部品・サービス売上げが増加したことや円安の影響もあり、売上高は前年同期を上回った。

<中近東・アフリカ>

 中近東では、サウジアラビアやUAEなどの産油国での一般建機の需要が好調に推移したことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 アフリカでは、鉱山機械及び一般建機の需要が堅調に推移したことから、売上高は前年同期を上回った。

[リテールファイナンス]

 リテールファイナンス部門では、円安の影響や一般建機及び鉱山機械の販売増加により、新規取組高は増加した。前年同期に一部リース車を中古車として販売した影響があったものの、売上高は636億円(前年同期比16.5%増加)となった。セグメント利益は、円安や貸倒引当金の減少の影響などにより、212億円(前年同期比59.9%増加)となった。

[産業機械他]

 産業機械他部門では、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業は、世界的な半導体需要の増加により売上げが好調に推移したものの、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械については、主に大型プレスの売上げが減少した。売上高は1,269億円(前年同期比3.8%減少)、セグメント利益は156億円(前年同期比3.8%増加)となった。

 ギガフォトン㈱では、世界各国におけるリソグラフィ用光源のフィールドサポート体制の更なる強化を目指し、エンジニアの育成及び強化を目的としたトレーニング設備増強を進めました。

コマツNTC㈱では、昨年11月に開催された「JIMTOF2022」(第31回日本国際工作機械見本市)において、フレキシブル加工に最適な5軸マシニングセンター「ComPlexシリーズ」などを出展した。

■連結業績予想に関する定性的情報

 2022年10月31日に公表(下記)した2023年3月期の連結業績予想に変更はない。

 売上高3兆4,600億円(前期比23.5%増)、営業利益4,400億円(同38.8%増)、税引前当期純利益4,320億円(同33.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,980億円(同32.5%増)。

 コマツの2022年度第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料