オークマが1月31日に発表した2023年3月期第3四半期連結累計期間(2022年4〜12月)の連結受注額は182,220百万円(前年同四半期比14.6%増)、連結売上高は167,579百万円(前年同四半期比36.5%増)、営業利益は17,528百万円(前年同四半期比95.8%増)、経常利益 は19,221百万円(前年同四半期比103.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は14,059百万円(前年同四半期 比103.9%増)となった。
2022年4〜12月期における当企業グループを取り巻く経営環境は、半導体等、部品・ユニット類や鋳 物・鋼材の調達難とコスト高の影響を大きく受ける展開が続いた。工作機械の需要は、世界的にインフレ圧力が高まる中、2022年半ば以降、全般的には緩やかな減少傾向が見られた。他方、労働人口の減少、脱炭素社会への移行等の社会変化を背景とした需要は広がりを見せ、またコロナ 禍や地政学リスクを契機としたサプライチェーンの再編や半導体を始めとするハイテク製品を中心とした製造の国 内回帰等、製造業の構造的な変化を背景とした需要は底堅く推移した。
米国市場では、自動車、航空宇宙、建設機械、農業機械等、幅広い産業分野で設備投資の動きが続き、EV関連の 設備投資も緩やかに拡大し始めた。また半導体製造装置関連では、製造の国内回帰の動きが見られた。
欧州市場では、ドイツ、イタリア等の主要国を中心に、自動車・EV、農業機械を始めとする幅広い産業分野の一 次、二次サプライヤから多くの需要を得た。他方、中小事業者を中心に景気の先行きを懸念し、投資を先送り する等、夏場以降は停滞感が見られた。
中国市場では、EVメーカ及び部品サプライヤからの旺盛な設備投資が続き、それに伴い大手・中堅企業を中心に、 金型や射出成型機、プレス機、油圧部品等、関連産業からの需要も拡大した。またハイテク産業関連の需要は 堅調に推移し、停滞していた建設機械関連も設備投資に動きが戻り始めた。中国以外のアジア市場では、コロ ナ禍の落ち着きに伴い、工作機械の需要は回復基調となった。
国内市場では、半導体製造装置関連からの旺盛な需要は継続し、建設機械、減速機関連は堅調に推移した。産業機械は回復が続き、自動車関連も緩やかながらも回復基調となる等、底堅く推移した。
このように産業や顧客により需要に強弱はある中、活況産業、有望顧客の需要を取り込み、更に2022年9月に米 国シカゴにて開催された米国国際製造技術展(IMTS 2022)、同年11月に東京にて開催された日本国際工作機械見本 市(JIMTOF 2022)を始め、リアル展示会に積極的に出展し、自動化ソリューション等、ものづくりの社会課題の解 決に寄与する製品、ソリューションを出品し、需要の喚起を図った。
JIMTOF 2022では、新NC装置「OSP-P500」、新開発の加工セルコントローラ「smarTwinCELL」等を出品し、高い操 作性と高度なデジタル技術の適用により、生産性向上と共に熟練技術者減少問題や環境負荷低減に寄与する独自の 技術・製品に多くの関心を集めた。また、脱炭素社会に向けて、高生産性・高精度加工とエネルギー消費量の 削減の両立を自律的に行うオークマの知的工作機械を「Green-Smart Machine」と定義して全面展開することをアピール し、あわせて2022年10月より国内3工場(本社、可児、江南)をカーボンニュートラル工場と致った。
半導体を中心とする電子部品の調達の制約に対しては、NC装置を内製化する強みを活かして柔軟な生産対応を行い、品質と顧客納期の確保を最優先に出荷、売上を進めてきた。また円安による部材のコスト高や電力料 金等の高騰は、生産性向上によるコスト吸収に努めたうえで、販売価格への転嫁を図った。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
オークマグループを取り巻く今後の経営環境については、引き続き、電子部品を中心とした調達品の制約、部材やエネルギー価格の高騰、不安定な国際物流の影響が続くことを想定している。 工作機械の需要については、コロナ禍でのペントアップ需要の後退、インフレ局面に伴う金融引き締めやウクライナ紛争、中国の新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、設備投資のペースは、国内、海外共、緩やかな調整が続くものと見ている。他方、コロナ禍を契機に新たに加わった自動化のニーズ、EV化等の環境対応、半導 体を始めとする先端技術対応、サプライチェーンの強靭化や再配置等、ものづくりを巡る構造的な変化に伴い、工 作機械と関連システムの需要は底堅さを維持するものと見込まれる。
米国市場においては、生産拠点の自国回帰により、生産能力増強の基調は続くことが期待される。他方、欧州 市場はインフレ圧力、資源高等により景気が弱含み、設備投資に停滞感が強まることが予想される。
中国市場では、新型コロナウイルス感染の拡大等により景気の減速感が強まり、中小事業者の設備投資は停滞す ることが予想されるが、他方、EV関連やハイテク産業等、中国における成長産業からの需要は、大手企業を中心 に底堅く推移することが見込まれる。その他のアジア諸国においても、グローバルな製造拠点再配置の動きの中で、工作機械需要の回復が進むものと予想される。
国内市場においては、調達問題の解消と共に自動車関連産業は復調に向かい、設備投資は本格化し、また、自動 車のEV化を始め、様々な機器のAI化等の機能向上を背景に、足下で若干の停滞感がある半導体製造装置関連からの需要も再び活発化することが見込まれる。更に環境対応、エネルギー価格高騰により、再生エネルギー関連産業 の設備投資が期待される。
このような経営環境が見込まれる中、オークマグループは、グローバルでの顧客獲得、生産・業務効率向上による 収益確保と体質強化を図ると共に、スマートマシン、スマートファクトリーソリューションの強化を図り、自動化 ソリューション、脱炭素化ソリューション等、「ものづくりDXソリューション」の提供を基本戦略として展開し、 成長産業からの需要を確実に取り込み、グローバル市場で成長を図っていく。
2023年1月に「2022年十大新製品賞本賞」(日刊工業新聞社主催)を受賞した「仮想機械を再現・精密なデジタ ルツイン機能を提供しものづくりDXを実現する新世代CNC OSP-P500」、同じく1月に「令和4年度優秀省エネ脱炭 素機器・システム表彰日本機械工業連合会会長賞」(日本機械工業連合会主催)を受賞した「脱炭素対応工作機械 省エネシステム(ECO suite plus)」などのスマートマシン、スマートファクトリーソリューションを土台に、 個々の顧客におけるものづくりのライフサイクル全体において、課題を解決し価値創造を提供する「総合ものづくりサービス」を展開していく。そして、「ものづくりサービス」の力を発揮することで、脱炭素社会の実現、労働人口減少等、社会課題の解決に貢献すると共に、オークマグループの成長を図り、「世界の製造業における 社会課題を解決する企業」として成長していく。
2023年3月期連結業績予想は、売上高2,250億円(前期比30.2%増)、営業利益255億円(同76.3%増)、経常利益275億円(同76.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益200億円(同72.7%増)。
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