日機連、「優秀省エネ機器・システム表彰」を決定、経産大臣賞はコマツの電動式フォークリフト

 (一社)日本機械工業連合会:22023年1月20日

 当連合会では、昭和55年度より国の省エネルギー推進政策に協力して、機械工業の立場からこれを推進するため、優秀な産業用省エネルギー機器を開発し、実用化した企業等を表彰する「優秀省エネ機器・システム表彰」を実施してきました。本表彰は、我が国の2050年カーボンニュートラル宣言を受け、令和3年度から表彰名を「優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰」に改め、従来の省エネ機器・システムに加え、優秀な脱炭素機器・システムも表彰対象と致しました。

 令和4年度は幅広い分野から応募を頂き、当会内に設置した「優秀省エネ脱炭素機器・システム審査特別委員会」(委員長・松本洋一郎 東京大学 名誉教授)および幹事会(幹事長・筒井康賢 高知工科大学 名誉教授)において慎重な審議を重ね、別表のとおり表彰機器として11件を選定しました。

 経済産業大臣賞には、「コマツ」から申請のあった「電動式フォークリフト(FE25-2、FE30-2)」が選定されました。同機器の選定理由は次の通り。

【選定理由】

 「フォークリフトは、荷役運搬車両として工場や倉庫に限らず、さまざまな現場で使われており、近年では、クリーンでランニングコストが安い電動式フォークリフトの需要が高まっている。しかしながら、バッテリーの保守管理や稼働時間の制約、作業環境の耐性に不足を感じるユーザも多く、国内フォークリフト総需要の約50%を占める2~3トンクラスにおける電動式の比率は25%程度に留まっている。そこで、申請者はバッテリーのメンテナンスを容易にし、長時間の稼働ができ、且つ、エンジン式フォークリフトと同等の性能を持った電動式のフォークリフトを開発した。

 従来の電動式フォークリフトでは電池の搭載スペースの制限により、1回の満充電での連続稼働時間が短く(4~6時間)、バッテリーの満充電に時間(10~12時間)を要していた。また、屋外使用時の走行性能や耐水性・防塵性に制約があるなど、使い勝手が犠牲になっている側面があった。そこで、1時間でバッテリー容量の最大60%を回復する急速充電技術を開発し、昼休み等の短時間の補充電による稼働時間の大幅延長を実現した。また、従来のバッテリーでは補水管理が必要であったが、これを不要とした。更に、高電圧で高回転の小形高出力モータを開発することで、車体サイズを維持したままで、エンジン式フォークリフトと同等のパワーとスムーズさを実現した。

 申請者は、最大過重2~3トンクラスの電動式フォークリフトで、エンジン式フォークリフト同等の走行性能を実現するとともに、屋外使用が可能な耐水性・防塵性も併せて実現するなど、電動式フォークリフトの使い勝手を向上した。これにより、従来型電動式フォークリフトでは対応が難しかった業種(木材、建設、産廃)にも、電動フォークリフトの適用が可能となり、電動式の適用範囲拡大につなげている点が高く評価できる。本製品により、さまざまな現場で稼働しているフォークリフトの電動化率が向上し、カーボンニュートラル実現に貢献することが期待できる。」

 また、資源エネルギー庁長官賞には「川崎重工業株式会社」の「高効率二段過給ガスエンジン (KG-18-T)」及び「島田理化工業株式会社」の「電源力率・電源効率改善型PWM制御誘導加熱インバータ」、中小企業庁長官賞には「株式会社アスター」の「アルミニウム成型コイルを用いた高出力密度・高効率モータ(ASTERMOTOR®)」、産業技術環境局局長賞には「株式会社マルヤス」の「ロスフィルムを原料に変えるペレット再生装置(ecoペレGP2)」が選定されました。

 その他に6件の機器が日本機械工業連合会会長賞に選定されました。

 なお、2月7日(火)、午後15時から機械振興会館で表彰式を行う予定です。

(別表) 令和4年度優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰一覧

 ニュースリリース
 *リリース内容から「ですます調」で表記しています。