㈱不二越が1月12日に発表した2022年11月期連結業績によると、売上高は、自動車分野で生産調整などがあったが、産業機械・市販分野の 需要が回復・拡大し、建設機械分野も堅調に推移したことにより、2,580億97百万円(前期比12.6%増)、このうち、国内売上高は1,216億77百万円(同4.2%増)、海外売上高は1,364億19百万円(同21.4%増)となった。利益面は、売上・生産の増加による操業度の改善に加え、原材料価格上昇分の販売価格への環流や、 生産ラインの自動化・合理化による生産性の向上、調達コストダウンにとり組み、また、為替が円安で推移した結 果、営業利益は170億25百万円(同15.7%増)、経常利益は171億円(同18.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利 益は122億37百万円(同22.5%増)となった。
2022年11月期における同社グループをとり巻く環境は、経済活動の正常化が進み、日本・欧米などの先進国経 済の持ち直しが続くなか、総じて緩やかな回復が継続した。一方で、半導体不足による自動車の減産影響や 中国での新型コロナウイルス対策による都市封鎖に加え、ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料・エネルギー価格 の高騰や、米国の政策金利引き上げの影響による急激な為替変動など、先行き不透明な状況が継続している。
このような状況のもと、不二越グループは、中長期的な脱炭素・EV化をはじめとする産業構造の大変革を見据え、工具、工作機械、ロボット、ベアリング、油圧機器、そして特殊鋼事業をあわせ持つ総合機械メーカーとしての特長を活かし、ユーザーのものづくりに寄与する新商品の開発や技術提案などにより、受注・売上の拡大にとり組んでいる。また、収益の改善に向けて、需要の変化に対応する世界の工場再編、合理化、内製拡大など、 事業全般の構造改革を推進している。
■セグメント別業績
機械工具事業では、産業機械・市販分野で需要回復が進む工具と、電機・電子分野やEV関連でのロボット需要の拡大により、売上高は826億7百万円(前期比15.5%増)となり、営業利益は79億77百万円(同73.1%増)となった。
部品事業では、自動車分野において生産調整の影響があったが、建設機械・産業機械・市販分野で需要が回復・拡大し、売上高は1,590億62百万円(同9.9%増)となった。一方、営業利益は、操業度の改善に対して、 原材料価格の高騰などの影響を大きく受け、76億60百万円(同22.6%減)となった。
その他の事業では、特殊鋼需要の回復と販売価格の引き上げなどにより、売上高は164億26百万円(同27.5%増)、 営業利益は13億96百万円(同14.1倍)となった。
■今後の見通し
次期の事業環境については、不二越の主要な事業領域である自動車分野は、世界的な半導体不足、部品供給問 題の解消が見込まれているが依然不透明であり、また、産業機械・建設機械・市販分野では、需要は高水準なものの一部で調整の動きも見られ、総じて先行きが見通しにくい状況にある。
さらに、中長期的には、カーボ ンニュートラルに向けて、自動車分野では、本格的なEV化に向けたとり組みや事業再編が加速し、さらに、産業 機械分野を含め、ものづくりのDXの進展や、SDGsをはじめとした社会・環境問題への対応など、大きく変化している。
不二越は、このような産業構造の大変革に対し、ロボットをはじめ多彩な事業・技術・生産ノウハウを有する独自性を活かし、EV・産業機械分野を中心とする事業構造への転換に向けて、新しいビジネスチャンスを創出していく。そして、伸びしろの大きい海外市場を中心に、営業・サービス、製造・調達、研究開発の各面で体質を強化して、市場の動き・ニーズを捉え、全部門の技術を連携・結集した商品・サービスを拡販し、また、自動化・合理化により生産性を向上させていくことで、業績の一層の向上に努めていく。そして、事業活動を通し て、環境・社会・ガバナンスなどの課題にとり組み、持続的な企業成長を目指していく。
現時点における2023年11月期の連結業績予想としては、売上高2,600億円(前期比0.7%増)、営業利益 175億円(同2.8%増)、経常利益165億円(同3.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益125億円(同2.1%増) を見込んでいる。
なお、為替レートは1USドル125円、1ユーロ130円、1中国元18.5円を前提としている。
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