●年頭所感(2023年) コマツ 代表取締役社長(兼)CEO 小川啓之

 謹んで新年のご挨拶を申しあげます。

 昨年は、経済安全保障リスクや地政学リスクの高まりなどにより、世界経済は大きく影響を受け、当社を取り巻く外部環境はますます不確実かつ不透明なものとなってきました。依然新型コロナウイルス感染症は収束することなく、気候変動などのサステナビリティ・リスクへの対応も引き続き迫られるなど、あらゆる方面で外部環境の変化と事業リスクへの対応力強化が求められた一年となりました。

 昨年4月より、当社は次の100年に向けて新たな価値創造を目指すため、3 カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value - Together, to “The Next” for sustainable growth」をスタートしました。成長分野における新たな価値創造のための重点投資を継続するとともに、既存分野における収益獲得機会の最大化により、収益性の更なる向上を目指していきます。また、マテリアリティ分析を行い、外部環境の変化や需要変動にも左右されにくい体制構築を成長戦略として織り込み、対応力強化への取り組みを進めました。

 昨年の建設・鉱山機械の事業環境を振り返ると、北米やアジアを中心に需要が好調に推移したものの、サプライチェーンの混乱による生産及び販売への影響や原材料価格や物流費の高騰や為替の影響に左右されました。このような状況下でも、当社は部品調達の複数社購買体制の強化とクロスソーシング活用によりお客さまへの商品・部品の継続的供給に尽力するとともに、販売価格の改善をはかり、上期の業績は売上高・利益ともに過去最高となりました。本年も、アジアを中心に引き続き需要は好調に推移すると見込むものの、米国の金利引き上げや欧州経済の高インフレや金融引き締め等による景気後退も予想されます。中期経営計画で掲げた持続的成長を目指し、需要変動に左右されにくい体制構築と、お客さまに新たな価値をお届けするために尽力してまいります。

 また当社では、外部環境の変化は、リスクとしてだけでなく、当社の製品・サービス・ソリューションの高度化というビジネスチャンスと捉え、お客さまやパートナー企業と共に、DX推進やダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでいます。また、2050年カーボンニュートラルに向け、温暖化対策と事業成長の両立を目指し、さまざまな電動化戦略を推進しています。本年は、bauma 2022に出展した20トンクラスの電動油圧ショベルや、3トンクラスの電動ミニショベル等の量産を開始し、日本・欧州市場へ導入する予定であり、「電動化市場導入元年」と位置づけ、建機の電動化市場の形成に向けて取り組みを加速してまいります。また、鉱山向けダンプトラックについては、バッテリートロリー車の開発を進めるとともに、水素燃料電池ソリューションなどのゼロエミッション動力源の先行研究開発を進めていきます。

 コマツは今後も「品質と信頼性」を追求し、当社の存在意義である「ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く」ことを目指してまいります。最後になりましたが、皆さまにとって素晴らしい1年になりますように、心より祈念いたします。

 コマツHP