・将来的なCNP実現を視野に、港湾の温室効果ガス排出量を低減
・従来型RTGと比べて、約15%の燃費削減とCO2、NOx、PMの排出量削減を達成
・将来的な水素供給インフラ整備の完了に合わせ、ディーゼル発電機から水素燃料電への換装も可能
三菱重工業と三菱重工グループの三菱ロジスネクストは12月22日、従来比で温室効果ガス排出量を低減し、将来的な水素燃料電池への換装も可能な新型タイヤ式門型クレーン(RTG:Rubber Tired Gantry crane)「F-ZERO(Future-Zero)」タイプの初号機2 基を、川崎市川崎区の川崎港コンテナターミナルへ納入したと発表した。コンテナターミナルの運営などを手掛ける東洋埠頭(東京都中央区)から受注したもので、9月から同港での稼働を開始している。
同RTGは、ディーゼル発電機の小型化によりエンジンの排気量・出力を抑えつつ従来のハイブリッド型RTG(以下、従来型RTG)と同容量の蓄電池を搭載可能とした。また、新型エンジンコントローラーを用いた最適かつ効率的な燃焼制御により、環境省の特定特殊自動車排出ガス規制法の平成26年規制基準値をクリアし、従来型RTGと比較して 約15%(注1)の燃費削減と、CO2、NOx(窒素酸化物)、PM(黒煙粒子状物質)の排出量削減を達成している。さらに将来的な水素供給インフラ整備の完了に合わせ、ディーゼル発電機から水素燃料電池への換装も可能としている。加えて、荷役の際にコンテナの吊下げや移動を担うスプレッダーのワイヤー巻下げ時に発生する回生電力(注2)を蓄電池に蓄電し、ワイヤー巻上げ時に再利用することで燃料消費を抑えCO2排出量を低減する機能を、従来型RTGと同様に搭載している。
三菱重工と三菱ロジスネクストは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、港湾におけるCO2排出量削減への取り組みを進めている。今回の新型RTG納入を通じ、川崎港が検討を進めるカーボンニュートラルポート(CNP)(注3)の実現に貢献するとともに、グループの総合力を生かして荷役機器の新モデル開発や既存機器の水素燃料電池化などを積極的に推進し、港湾物流における最適なソリューションを提供していく。
1 三菱ロジスネクストの評価パターンによる数値。
2 モーターの特性を利用して減速時の運動エネルギーなどの余剰エネルギーを回収し、変換された電力のこと。
3 国土交通省および全国自治体が検討を進めている、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化などを通じて脱炭素社会の実現に貢献することを目指す政策。
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