・電池の長寿命化とCO2 削減のため
昭和電工は12月21日、リチウムイオン電池(LIB)向け正負極用導電助剤「VGCF®(気相法炭素繊維)」の生産能力を増強することを決定したと発表した。需要拡大が続くLIB市場において、特に電動車用LIBの需要が急速に拡大している。そのLIBに欠かせないVGCF®は、欧州自動車メーカー向けを中心に需要が増大しており、こうした状況に対応する。稼働開始は2023年10月の予定。今回の能力増強により、川崎事業所の生産能力は年産300トンから33%増の年産400トンになる。
LIBは充放電を繰り返すことで徐々にリチウムイオンの行き来が難しくなる性質があり、これにより充電量が低下するなど性能が劣化する。しかし、繊維状のVGCF®を使うとリチウムイオンの行き来が保たれ、電池の劣化を抑制することができる。
VGCF®は、分散性が高い繊維のため、少量を添加するだけでLIBの高容量化、長寿命化を可能にする。また、熱伝導性も高いため、電極からの放熱を促進し、LIBの熱マネジメントに貢献する。この結果、VGCF®を使うことで電池の寿命が延び、ライフサイクル全体でCO2排出量の削減が期待できる。
昭和電工グループは、LIB材料において、VGCF®のほか、リチウムイオン電池用アルミラミネートフィルム SPALF® *1、負極材用バインダーPolysol® *2、負極材を取り揃えている。今後も、省エネルギーや環境への負荷低減に寄与する製品を提供することで、グローバル社会の持続可能な発展へ貢献する。
*1SPALF®は、樹脂とアルミ箔をラミネートしたフィルムで、パウチ型LIBの包材として使用される。高い絶縁性を持ち、成形性に優れている。
*2バインダーは、リチウムイオンが出入りする正・負極活物質やその他補助添加剤、集電板を結着させる接着剤の役割を果たす。Polysol®は、現在、バインダー材料として主流のスチレンブタジエンゴム(SBR)と比べて、高温や低温環境で劣化しにくいなど、温度特性に優れる。