日立建機は12月19日、恒例の年末メディア合同ミーティング(対面・オンライン併催)を開催し、平野耕太郎社長が2022年を振り返るととともに、2023年以降に向けた取り組みや方向性など、概ね次のように語った。以下、発言を順不同で抜粋。
平野社長:今年は、オリンピック、ワールドカップでの明るいニュースもある反面、ロシアのウクライナ侵攻、コロナもまだ続いている状況で、なかなか厳しい暗いニュースも多かった年だった。日立建機は、米国ディア社と合弁契約解消を行い、新たに3月から米州での独自展開を始めた。もう一つ、ディア社との関係が変わり、新しい株主(伊藤忠商事、日本産業パートナーズ)の方々が加わった。それから日立製作所との関係も引き続き変わらないなか、我々は「第二の創業」と社内で言っている。
これは、50年前に日立製作所の1部門だった我々が独立して、株式の51%を日立製作所が持ち、その他が49%という形の「第一の創業」だったが、それに匹敵するような大きな変化の年であった。
アメリカの方もおかげさまで、北米は特にコンストラクション(建設機械)、マイニング(鉱山機械)の方も順調な滑り出しとなっている。もう一つ、親会社の変更についても、新しい株主ともいろんな話を行っている。日立建機グループが取り扱う北米における建設機械の販売金融を行うファイナンス合弁会社(ZAXIS Finance社」を設立することで合意した。また、25%の株主である日立製作所とも研究開発関係は変わらず続いている。つまり親会社変更による事業への影響は、マイナス面が少なく、プラス面が非常に大きいということでスタートしている。
今後、建設機械市場の4割を占める米州で独自の実績として出していかなければならない。いま、来年度からの中期経営計画について、世界中の幹部や取引先と取り組み内容を精査している段階で、来年春には公開したい。
・・・・・北米市場の見通しは。
まず市場の動向と当社への注文の状況は異なる。確かに機械の稼働状況は、金利やインフレの状況により工事に影響を及ぼす。ただ、代理店やレンタル業によると、過去2年間、コロナの影響もあって希望する台数が変わっておらず、在庫台数が少ない状況にある。工事は多少スローダウンしても、来年度の前半は比較的順調だとみている。後半については、もう少し様子をみる必要がある。
ただし、現在の顧客(レンタル除く)の購入計画は、けっして落ちてはなく、工事の状況と注文の状況には少し格差があることから、受注は比較的強いとみている。
・・・・・電動化流れについては。
我々は先行して開発を進め、機種のラインナップを増やしてきた。また、日本・ドイツを開発拠点として先行してきたことがうまくいっている。やはり顧客は欧州が多く、熱心で興味がある。そういう顧客の意見を取り入れて、開発が進んでいる。日本では、ドイツで開発したものを今度はグローバル化しなければならない。日本、アメリカ、そして中国でも使いやすくしなければならない。日独の二つの開発の歯車がうまくかみ合っている。
台数的には、例えば、2020年から発売している8トンクラスは累計70台程度で多くない。それは、価格がディーゼルエンジン車に比べて高いということ、それから稼働時間も短いこと。ただ、欧州市場はコンパクト(小型建機)を中心に増えていくだろう。
それと、特に環境基準が厳しい米国のカリフォルニア州などや、電気自動車の需要が多く、バッテリーもある中国市場もにらみ、しっかり開発をしていきたい。台数は限られているが、顧客の声を聞いて開発を進めていく。
・・・・・マイニング(鉱山機械)の見通しは。
引き続き来年も好調に推移するとみている。機械の受注も例年よりも順調だ。22年度生産分はショベルもダンプも受注済み。資源価格が高水準であることや、2011~12年の直近ピークの買い替え需要、コロナ禍により2020~21年に買い控えた注文が後にずれた面もあるのではないか。日立建機は米州に期待しており、今後は、2025~26年に向けトロリーの需要に期待している。
・・・・中国のコロナ政策変更に関しては。
中国がゼロコロナ政策を転換したとしても、逆に従業員は非常に慎重になっている面がある。かえって工場の検査体制を厳しくしている状況だ。今のところ足元の事業で何か大きなトラブルはなく、販売・生産も特に影響はない。中国の事業は売上の3%程度なので、大きな影響はない。
2022年12月19日会見より抜粋。
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