川崎重工、ベルギーの石油化学会社からガスタービンの水素混焼改造工事を受注

 川崎重工業は12月5日、Kawasaki Gas Turbine Europe GmbH(ドイツ、以下KGE)を通じて、Chevron Phillips Chemical International N.V.(ベルギー)から、現在稼働中のDLE燃焼器を搭載した天然ガス焚き1.8MW級ガスタービンコージェネレーションシステム「GPB17D」を、体積比30%までの割合で水素を混焼可能な「GPB17D-H2」へ改造する工事を受注したと発表した。

 天然ガス焚きガスタービンの水素混焼仕様への改造工事の受注は今回が初めてで、既存システムによる電力・蒸気の安定供給と高効率発電に加え、環境性能(NOx排出量15ppm以下(O2=15%))を維持したまま水素を有効活用できる燃焼技術が高く評価された。

 川崎重工のDLE燃焼器を搭載した天然ガス焚きガスタービンは、全ての機種でガスタービン本体を改造することなく水素混焼に対応することが可能。既存システムの機器を流用しながら、水素圧縮機と燃料混合システムなどを追加するだけで水素を体積比30%までの割合で天然ガスと混焼できるため、実績あるエンジンの信頼性を継承したまま水素エネルギーを活用することができる。

 Chevron Phillips International N.V.は、世界各地で石油化学製品の生産・販売事業を展開するChevron Phillips Chemical Company LLC.(米国)傘下の会社。今回の改造工事は、ベルギー東部のテッセンデルロ工場で発生する副生水素を燃料として有効活用することで、化石燃料への依存度とエネルギーコストの低減、CO2排出量削減を図るもの。改造工事は2023年7月に実施する予定。

 川崎重工は、脱炭素社会に向けた水素エネルギーの普及を見据え、水素サプライチェーン(つくる、はこぶ、ためる、つかう)の技術開発を進めている。中でも、水素ガスタービンは、日本のCO2発生量の約4割を占める発電分野において、脱炭素化に貢献する「つかう」分野の重要な製品の一つで。今後もさらなる水素燃料対応のガスタービン燃焼技術の開発を進め、世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する。

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