・連結子会社久保孝ペイント、新会社設立
・欧州に続き日本での粉体塗料事業を再編・拡大
関西ペイントグループは11月30日、粉体塗料事業を強化するため、関西ペイント(大阪市中央区)の連結子会社である久保孝ペイント(大阪市東淀川区)による100%出資の粉体塗料製造新会社を2022年12月に設立、加えて、粉体塗料工場を新たに建設し、事業の拡大を進めると発表した。
■新会社設立の背景
日本社会においては、高齢化による労働人口の減少に伴う人材不足や、企業の環境負荷への一層の問題意識の高まりなど、様々な課題がある。塗装業界でも同様に、工場塗装の熟練工や担い手の減少は深刻さを増し、塗料に使用される有機溶剤の環境規制や、廃棄物削減の要望が高まっている。
関西ペイントグループは、4つのマテリアリティを定義していますが、その内『QOL(Quality of life)の向上』と『資源と経済循環両立の高度化』として社会課題の解決に努めている。
粉体塗料は塗装工程の省人化が図れ、環境対応の課題を解決する塗料として優位性が認められ、世界的にも需要が拡大している。関西ペイントグループは、粉体塗料事業を重要な拡大セグメントと捉え、日本における生産体制、技術、商品、販売体制を強化していくことにした。
■今後の予定について
日本国内の粉体塗料事業の生産体制、販売体制強化のため、同事業を主力とする久保孝ペイントを完全子会社化する予定。なお、久保孝ペイントと大日本塗料との間で2015年1月に粉体塗料製造の合弁事業として設立したジャパンパウダー塗料製造(JPCM)は、2022年11月30日に当該合弁事業の解消に合意した。2023年4月には久保孝ペイントが保有するJPCMの株式49%をJPCMに譲渡する予定。
関西ペイントグループは、2022年4月からスタートした、『第17次中期経営計画』において重点方針のひとつに、「成長分野への積極投資」を掲げている。「成長分野への積極投資」の中には、日本事業の再編成・効率化を掲げており、今回の新会社設立はそのひとつとなる。今回の日本における粉体事業拡大で2030年度には売上高90億円(2021年度比で倍増)を見込み、トップシェアを目指していく。
また、海外においては既に粉体塗料事業を広く展開するインドや欧州の海外子会社とともに、世界的な競争に対抗できる効率的な生産体制の構築を最重要事項として進めている。2022年11月30日に『欧州における粉体塗料事業の株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ』について公表したが、それに続くものとなる。今後は日本のみならず、関西ペイントグループが事業を展開する各地域においても成長分野のひとつとして重点的に投資し、工業分野での中核ビジネスへと拡大、技術開発や商品拡充も強化していく。
<新会社概要>
会社名:KANSAIパウダーコーティングス 株式会社
本社:大阪府大阪市東淀川区西淡路3丁目15番27号
工場:兵庫工場 朝来市生野町真弓373-98(現・JPCM 兵庫工場)
代表者:蘆田 勝利
設立:2022年12月
操業開始: 2023年4月予定
資本金:9,000万円
事業内容:関西ペイント及び久保孝ペイントからの製造受託による粉体塗料の製造と販売
株主構成:久保孝ペイント株式会社100%
<新工場の概要>
新工場:兵庫県赤穂市を予定(関西ペイントグループ敷地内)
延面積:10,000㎡(倉庫含む)
工期(第一期):2023年10月 稼働2025年1月
(第二期):2026年 4月 稼働2027年4月
生産品目:粉体塗料
■粉体塗料について
粉体塗料とは、有機溶剤や水などを用いないパウダー状の塗料。塗装時に有機溶剤を使用しないため、大気汚染(VOC対策)の防止になる『地球環境に優しい塗料』として世界的に注目を集めている。また、液状塗料と違い、塗装時に被塗物に付着しなかった塗料は回収して再利用できる。さらには、熟練工に頼ることなく塗装を自動化しやすい等の特性を持ち、省人化などの課題解決に繋がるものでもある。
用途としては、建築資材をはじめスチール家具や家電製品、自動車部品、建機、農機などに使われており、今後は工業分野の焼付型塗料の主力塗料として用途の拡大が見込まれる。
世界全体の市場規模は約1.6兆円で、既に環境意識の高い欧州や工業が目覚ましく発展している中国を中心に、海外では広く活用されている。そのうち日本の市場規模は、現在約300億円で、今後年2~3%の成長が見込まれる。(*関西ペイント調べ)