井関農機、22年年1〜9月売上は1.6%増の1,254億円、22年予想は5.3%増の1,665億円

 井関農機が11月14日に発表した2022年年12月期第3四半期連結累計期間(1~9月)の業績によると、売上高は、前年同期比1,962百万円増加し、125,394百万円(前年 同期比1.6%増加)となった。

 国内売上高は前年同期比5,865百万円減少の85,099百万円(前年同期比6.4%減少)。農機製品はサプライチェーン混乱に伴う生産遅延や米価低迷・資材価格高騰による購買意 欲減退に加え、前期にあった経営継続補助金の反動もあり減少した。また、作業機も補助金反動により減少となった。 一方で、 補修用部品及び修理整備等のメンテナンス収入は、 農機製品の売上が減少する中でも前年同期を維持した。

 海外売上高は前年同期比7,827百万円増加の40,295百万円(前年同期比24.1%増加)。北米はコンパクトトラクタ市場が調整局面に入るも、現地在庫レベル回復に向け出荷 は続伸した。欧州はライフスタイルの変化を捉え、コンシューマー向けを中心に販売が伸長、 加 えて景観整備向け需要の回復に伴 うプロ向け販売も増加した。また、Iseki-Maschinen GmbHの連結子会社化による増加もあった。アジアは韓国向けの増加はあるも、中国向け半製品の出荷減などにより減少した。

 井関農機2021年第3四半期データ

 営業利益は前年同期比2,664百万円減少の3,160百万円(前年同期比45.7%減少)となった。各地域で価格改定を実施したが、原材料価格高騰影響の全てをカバーするには至らず 収益を圧迫、加えて販管費も増加した。

 経常利益は前年同期比2,634百万円減少の3,882百万円(前年同期比40.4%減少)となった。為替差益の増加はあったものの前期に計上した受取和解金の剥落や持分法による投資損失 の拡大もあり、営業利益と同様の減少幅となった。

 税金等調整前四半期純利益は前年同期比1,912百万円減少の4,435百万円(前年同期比30.1%減 少)となった。Iseki-Maschinen GmbHの連結子会社化による段階取得に係る差益及び負の のれん発生益の特別利益発生などにより減少幅が縮小した。

 親会社株主に帰属する当第3四半期純利益は、前年同期比1,298百万円減少の3,482百万円(前 年同期比27.2%減少)となった。

経営成績に関する説明

 1〜9月期における世界経済・日本経済は、 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)による影響が緩和される中で緩やかに持ち直しの動きが見られた。一方で、国内外ともに原材料価格の高騰や、サプライチェーンの混乱による供給制約に加えて、ロシアの ウクライナ侵攻や円安が急速に進む為替相場など、引き続き先行き不透明な状況が続いている。

  このような状況の中、同社グループは、国内では顧客対応の充実など農業構造変化への対応強化、海外では主力市場である北米、欧州、アジアでの販売強化に努めた。

商品別の売上状況

〔国内〕 整地用機械(トラクタ、耕うん機など)は18,151百万円(前年同期比3.6%減少)、栽培用機械 (田植機、野菜移植機)は6,530百万円(前年同期比10.2%減少)、収穫調製用機械(コンバインな ど)は11,443百万円(前年同期比2.5%減少)、 作業機・補修用部品・修理収入は31,635百万円 (前年同期比7.8%減少)、その他農業関連(施設工事など)は17,338百万円(前年同期比7.8%減 少)となった。

〔海外〕 整地用機械(トラクタ、 芝刈機など)は30,465百万円(前年同期比26.3%増加)、 栽培用機械 (田植機など)は1,252百万円(前年同期比31.7%減少)、 収穫調製用機械(コンバインなど)は1,829百万円(前年同期比20.7%減少)、作業機・補修用部品・修理収入は3,351百万円(前年同 期比23.5%増加)、その他農業関連は3,396百万円(前年同期比127.9%増加)となった。

連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 2022年通期の連結業績予想は、前回発表予想(2022年2月15日)から下記のとおり修正した。

 売上高 166,500 百万円(前回予想166,500)、営業利益 3,700 百万円(4,700)、経常利益 4,600 百万円(4,600)、親会社株主に 帰属する当期純利益 3,500 百万円(3,100 )。

【修正理由】

 売上高は、海外では北米・欧州での続伸と為替円安の継続で増加する一方、国内では資材価 格高騰などに起因する農家の購買意欲減退により市場が弱含みで推移していることから減少を見込み、売上高全体では前回発表予想と同額の1,665億円とした。

 営業利益は、各地域で価格改定を実施しているものの、原材料価格の高騰影響などを吸収しきれず、前回発表予想比10億円減少の37億円、経常利益は、為替差益の計上などにより、前回発表予想と同額の46億円、当期純利益は、Iseki-Maschinen GmbHの連結子会社化による特別利益の発生などにより、前回発表予想比4億円増加の35億円と見込んでいる。

 なお、業績予想における通期平均為替レートは、対米ドル=132.2円、対ユーロ=137.0円 を見込んでいる。

 井関農機の2022年12月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算補足説明資料